医療制度のことを考えたら、日本からは出る気が起きない。アメリカで暮らして、働いている百々果は、23歳という若さもあってか「わあ~、アメリカ楽しい! USA最高!」ってノリだったけど、今回のことで日米医療制度の差を目の当たりにして、いろいろ思うところがあった様子。帰国して真っ先に歯医者で治療を受け、「歯の治療費、こんなに安いの? 日本の医療ってすごいんだね」と驚いていた。

高額療養費制度の引き上げ
最近、高額療養費の負担上限額の引き上げが話題になった。高額療養費制度は、国民健康保険に加入している人が治療を受けたり、薬を処方されて、自己負担額の限度を超えた支払いをすることになっても、後で役所に申請すれば、支払った金額と限度額の差額分が支給されるもの。この自己負担額の上限を引き上げることで、国側の負担軽減を図ろうとしたことから大騒ぎになった。闘病中で高額療養費制度をフル活用している私には、無関心でいられないニュースだったし、私もこの制度にとてもお世話になった。
病院の自動レジで本日分の医療費を精算すると、「今日のお会計は0円です」と表示されることが何度かあった。まこちゃん(マネージャー)に「0円って書いてあるけど、どういうことかな? 無料なわけないよね」と聞くと、「前に申請していた高額療養費制度の限度額に到達したんだと思うよ」と言われて、ハッとした。
これだけの医療を受けても0円で帰ることができる制度の素晴らしさに感動していた。だからこそ、引き上げに反対する人の気持ちは痛いほどわかる。だって、生活するのがあきらかに楽じゃなくなっているから。年々悪くなっているどころじゃなく、日増しにひどくなっている気がする。
お米が値上がって5キロで4500円とか、「ちょっと前まで、2000円台じゃなかったっけ?」とビックリした。お米以外の食品も、軒並み値上がりしている。なのに、テレビで「食品の価格が上がっているので、節約できるレシピを教えましょう」なんてノンキなことをやっていて「日本もここまで来たか……」とワナワナしてしまった。
2025.07.26(土)
文=平田裕介