在学中に聞いた話をもとにしたエピソード

――新書と違うのは、物語をガイドする主人公として、初音とイズミという新入生の東大女子キャラクターが出てくるところです。

ハミ山 主人公たちがすごく恵まれた立場だと物語が成立しないので、初音は経済的に裕福ではない子、イズミは教育虐待まではいかないけど親の干渉が強めの子という設定にしました。割合としては少数派でも、同じクラスに母子家庭の人は複数いました。そして、勉強する時にそばで親が見ているというのは、在学中にちらほら聞いた話でした。イズミの隣に両親が座っている絵を描きましたが、あれは私の先輩が、専業主婦のお母さんと自宅で仕事をしているお父さんが一日中両隣に座っている状況で勉強していたというエピソードを反映したものです。

――えー! それは怖い……。

ハミ山 そう彼女に言ってもピンと来ていない感じでしたね。「勉強しろ」と言われて受動的に東大に入ってきた子は一定数いると思います。もちろん、もともと頭が良くて学びを楽しんでいる天才型もいるのですが。

東大卒マンガ家が描く、「東大に行った娘」のその後〉へ続く

東大女子という生き方(文春新書 1356)

定価 1,078円(税込)
文藝春秋
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2025.07.19(土)
文=ハミ山クリニカ,秋山千佳