周りの教員は身を粉にして生徒に尽くす中、仕事を断って定時で帰りパチンコに時間を費やす中学教師・白兎(しらと)。漫画『白兎先生は働かない』は、学校現場で働く楽しさと、教員を取り巻くブラックな労働環境をコメディ調で描いています。
『娘がいじめをしていました』などの著書もあるしろやぎ秋吾さんに、なぜ学校をテーマに作品を描き続けるのか。その背景を伺いました。

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》マンガ『白兎先生は働かない』第1話を読む
「私自身は学校は大嫌いでした」
――しろやぎさんは子どものいじめや学校をテーマにした作品を描き続けています。なぜですか?
しろやぎ 意図してそういったテーマを選んで描いているということはないのですが、読者がどんな話だったら共感してもらえるだろうとか、自分ならどんな話を読みたいか考えたときに、やっぱり自分自身が経験したことだと読みやすいし描きやすいと思ったからです。
『白兎先生は働かない』では教師が主人公ですが、みんな生徒という立場で先生と関わってきたはずだし、この漫画を読んで「あの先生はどうだったのかな」と思い出してみてもらえたら嬉しいです。
それと臨時講師として何年か学校で働いていた経験があったので、それを活かせたらいいなと思っています。
私自身は学校は大嫌いでした。保育園の頃から高校を途中で辞めるまで、学校では絶対に声を出さない子供でした。家ではめっちゃおしゃべりなんですけど、そんな変な子供だったんです。授業で音読の順番がまわってくる日は必ず休んでいたような気がします。喋らないくせに〈ふざけたい〉とか〈伝えたい〉という気持ちは人一倍強くて、それができないストレスはすごかったです。

――それはつらいですね。いわゆる場面緘黙症のような状態だったんですね。漫画『10代の時のつらい経験、私たちはこう乗り越えました』でも場面緘黙を取り上げられていました。
しろやぎ そうでした。ただ、小学校の先生や友達は優しかったです。いじったりされることも多少はあったけど、振り返ると理解があったと思います。当時はその優しさを感じるどころじゃなかったですけど。
2025.06.03(火)
文=ゆきどっぐ