この記事の連載
# MEGUMIさんインタビュー前篇
# MEGUMIさんインタビュー後篇
どうしても妻としたい売れない脚本家と、そんな夫を拒絶し罵倒する妻——。NHK連続テレビ小説『ブギウギ』の脚本などを手掛けた足立紳さんが執筆した私小説を自ら映像化。セックスレス問題を痛快エンターテイメントドラマとして描いた『劇場版 それでも俺は、妻としたい』で妻・チカ役を演じたMEGUMIさんに、多くの女性が抱えてしまう葛藤について伺いました。
「どの家族も生々しい一面を持っている」
──『劇場版 それでも俺は、妻としたい』は監督・脚本を担当された足立紳さんの私小説が原作になっていることもあり、男女のあるあるがこれでもかと詰め込まれた作品になっていますね。
大変リアルで、生々しいともいえますよね。ドキュメンタリードラマのようだと感じました。足立夫婦の実際の暮らしをベースにしているお話なので、ドラマティックな展開があるわけではない。その点はチャレンジングな企画だったともいえます。
私が演じたチカ（主人公・豪太の妻）はすごく毒舌で「こんな言い方本当にするのかな？」と感じてしまうくらい強い言葉もありましたが、「我が家を見ているようでした」という感想をいただけたことで、「世の中、様々な家族がいる」という当たり前のことに気付かされました。
夫婦や家族って、どこも生々しい部分はあるものだよねということを共有し合える作品を作れたのはすごくいい経験でした。
──強い言葉の中にも、きちんと愛を感じさせる素晴らしい演技でした。ともすればただの鬼嫁として片付けられてしまうチカ役を演じるにあたり、心掛けたことはありますか？
チカは、豪太を仕事に熱心に取り組まない人間にしてしまったという負い目を感じているんです。学生の頃に出会って、豪太の才能に惹かれて結婚したはずなのに、「私がこうさせてしまったんだ」という後悔を感じてしまっている。
「豪太のことを100%嫌いなわけではないけれど、八方塞がりな現状を打破する方法がうまく見つからない。私たち夫婦は変わらないといけないのに、変われない」という葛藤が、観てくれている方々にも伝わるように努力しました。
私自身結婚していたこともあるし、実際に息子を育てているので、チカの気持ちは理解できます。また、自分にも後悔や葛藤みたいな感情は当然あります。そういったところを引っ張り出して、役と向き合いました。
──MEGUMIさんは、チカのことを「大好きな女性」とコメントされています。具体的にはどの部分を好きになったのでしょうか？
一生懸命に生きているところ、ですね。いい意味で不器用でバカなところも愛おしいです。劇中、豪太に誘われて夫婦で漫才に挑戦するエピソードがありますが、豪太の突拍子もないアイデアにも懸命に取り組むところは、キュートですよね。
2025.05.29(木)
文＝高田真莉絵
撮影＝佐藤 亘
