この記事の連載

 俳優として様々な役に挑みながら、プロデューサーとしてドラマや映画を手がけているMEGUMIさん。仕事がない時期があったからこそ獲得した思考法、そして他者と対話を重ねる上で心掛けていることを伺いました。


「リスペクトしている姿勢を見せたうえで対話を重ねる」

──『劇場版 それでも俺は、妻としたい』では、気持ちを通わせることの大切さも描かれています。MEGUMIさんは、他人とコミュニケーションをとるうえで気をつけていることはありますか?

 まず最初に、「あなたをリスペクトしているよ」ということを伝えます。プロデューサー業をしていると、言いづらいことを言わなければいけないことが多いので、必ず尊敬の姿勢を見せるように意識しています。

 直して欲しいことを伝える時は、ダラダラと言うのではなく、スパッと要件のみ! また、こちらの思いを伝えた後は、相手が何を感じてそういう行動をしたのかということに想像を働かせて寄り添うのも大切です。

 もともとはもっと感情的なタイプだったんですが、声を荒げたところで何も生まれないですし、今の年齢と立場を考えると、自分の気持ちを優先させるべきではないと感じています。なので、問題が起きたときもすぐには指摘しません。どのように伝えるのが一番効果的なのか、頭の中で整理してからにしています。

未知の感情を呼び起こした漫才シーン

──今回、演じていて一番印象に残っているシーンはありますか?

 夫婦で漫才をするシーンです。様々な角度から豪太のダメで情けないところを描いている映画ではありますが、漫才のシーンにおける豪太のダメさは強烈かつトリッキー。「あんた、ここでも頑張らないんだ? ここでヘラヘラしているのはマジできついぞ」と、演じながら猛烈にイライラしちゃいました(笑)。

 本業の芸人さんらの前で漫才をやるというシチュエーションも過酷でしたね。40代になって、今まで経験したことのない感情を覚えました。でも、ここまでしないと夫婦は変わっていけないことを示した、物語上とても重要なシーンなので、ぜひ注目してもらいたいです。

──漫才のシーンと同じく、観客にインパクトを与える義母と対峙するシーンはいかがでしたか?

 私も息子を育てているので、息子のダメなところを見ようとせず、とにかく甘やかしてしまう義母のスタンスは理解できるんです。いくつになっても可愛いんだろうな、と。そしてそういった義母は、嫁からしたら相当に嫌な人間であることも同じくらいに共感できる。なので「あるあるだよね」と思いながら、楽しく演じられました。

2025.05.29(木)
文=高田真莉絵
撮影=佐藤 亘