『Oasis』の貪欲なところはすごく見習いたい
――MEN’S NON-NOの専属モデルオーディションではグランプリ受賞。その後はモデルや俳優として、映画やドラマ、CMなど、仕事の幅が広がっていきます。ここまですごく順調に活躍されていらっしゃいますが、いかがでしょうか。
鈴鹿 見てくださる方に順調だなって思っていただけるのはすごくいいことだなと思っていて。自分では毎回もっとこうしたら良かったのかなとか、撮影中も悔しい思いをしたり、放送を見て後悔したりしています。
きっと悔しい思いをするってことは、おそらく成長できているんだろうと自分では捉えていて。周りからトントントン!って進んでいるように見えたとしても、自分では一つひとつ、目の前の作品を大切にして今に繋がっていると思います。
でも、自分の中では「もっと! もっと!」という精神があるんです。もっといろんな作品に出たいですし、もっとたくさんの方に見ていただきたいです。少し話がずれるかもしれませんが、僕、『Oasis』が好きで、『Oasis』がインタビューで「カネがあって、高級車に乗ってて、大きな家に住んで満足してるかって? もっと欲しいぜ!」みたいな話のインタビューを見て、僕も家とかお金じゃなくて、貪欲なところはすごく見習うべきだと思っています。
どのようなお仕事をしても「もっと! もっと!」と思えるのはすごくいいことだと思いますし、僕はお芝居の撮影中も、放送したものも含めて、自分自身に満足したことが一回もないです。満足したらそこで終わりといいますか辞めどきなのではないかという気がします。

――お仕事を振り返って反省されているということですか?
鈴鹿 ほぼ毎日しています。その日の撮影が終わって帰り途中や、家に帰ってお風呂に入っているときだったり、ベッドに入って電気を消して真っ暗な状態でふと思い出したり。お芝居だけではなくて、現場であの流れになったけれど、適切だったのかなと考えます。
僕の仕事が終わって夜9時くらいに「今、仕事終わったよ」とLINEすると……
――岡山のご家族とも、お話はされますか?
鈴鹿 よく、ドラマが放送されると「見たよ」と言ってくれますし、地元の母の友達や、周りの地域の方々が「こんな感想言ってたよ」と報告してくれます。家族のグループLINEがあるのですが、父、母、兄の4人で喋っていて、僕の仕事が終わって夜9時くらいに「今、仕事終わったよ」と連絡を入れると、「お疲れ様」と返信が返ってきます。その一文を見ると癒されますし、家族はいつも気にかけてくれています。
――いいご家族ですね。
鈴鹿 僕だけ東京に出てきて3人は岡山に住んでいますが、住んでいる場所は離れていてもいつも気に掛けてくれますし、優しい家族ですね。今年の正月には家族で台湾に旅行に行きましたが、楽しかったです! 年に1回は家族で集まりますし、仕事で岡山方面に行くときはなるべく実家に立ち寄りたいなと思っています。家族が集まるとワイワイ話しながらトランプやババ抜きしたり、神経衰弱したり。
僕にとっても仕事とは別に、大切な時間になっています。

撮影 石川啓次/文藝春秋
スタイリング 松川 総
ヘアメイク TAICHI NAGASE(VANITÉS)
〈名監督でも名女優でもなく、お世話になった関係者でもなく……鈴鹿央士がもう一度会いたい“あの人”〉へ続く

2025.05.17(土)
文=松永 怜
撮影=石川啓次/文藝春秋
スタイリング=松川 総
ヘアメイク=TAICHI NAGASE(VANITÉS)