現在21歳、ネクストブレイク俳優として映画・ドラマに引っ張りだこの野村康太さん。野村さんが主演を務める5月2日公開の映画『6人ぼっち』のこと、“意外と子どもっぽい”と語る今の自分自身について教えてもらいました。


主人公は、真面目で内向きな“ぼっち”高校生

 “ひとりぼっち”の高校生たち6人が集まったオリジナル映画『6人ぼっち』。主人公は「誰の、何のために生きている?」と思い悩む、真面目で内向きな“ぼっち”高校生の加山糸(野村康太)。

 糸は修学旅行で誰とも班が作れず、あぶれたクラスメイトで作った即席6人班の班長となる。個性豊かな彼らとの関わりが、糸の心境に少しずつ変化をもたらしていくのだ。

 多くの人々が経験する高校時代の修学旅行。大人になった今では味わえない甘酸っぱい思い出、6人を通して青春が追体験できるような一作になっている。スポーツマンで華やかな雰囲気を持つ野村さんだが、意外にも高校時代に“ぼっち”経験があるそう。

――『6人ぼっち』はオリジナル作品ですが、台本を読んでどのような印象を受けましたか?

 それぞれ違う個性を持つ高校生6人が、修学旅行で同じ班になったことをきっかけに一緒に行動する物語なんです。いつの間にか仲良くなって、最後には一つになっていくので、ポスターには「青春できていない青春映画」と書いてありますが、僕としては「すごい青春だな」と思って演じていました。

 それに、最初に台本を読んだとき、自分が演じる加山糸という役がすごく自分とマッチしていたんです。監督に「これ、僕自身です」と言ったくらい! とにかく共感できる部分が多かったですし、セリフの口調もすごく自分に合っているなと思っていました。

「今でもすごく人見知り」

――野村さんは学生時代バスケットボールに打ち込んでいたんですよね。内気な糸とは真逆にも思えますが、似ている部分があったんですね。

 部活をやっているときはすごくはっちゃけて、大声を出したりしていたんですけど、クラスでは割と静かなタイプでした。

 高校3年生のクラス替えのとき、まわりの子たちは高校2年生からずっと同じクラスで、もう輪ができていたんです。なぜか僕だけそこに放り込まれた、みたいな(笑)。ものすごく孤独を感じたので、最初はめちゃくちゃ静かでおとなしく過ごしていました。人見知りなこともあって、話しかけようにも話しかけられなくて。そのおかげで、糸にはかなり共感できました。

 糸が修学旅行で同じ班になった子たちに、最初に話しかけるとき「どうしよう」と戸惑うじゃないですか。僕は今でもすごく人見知りしてしまうので、撮影現場で共演した方に話しかけに行くときも、本当に勇気を振り絞らないとできないんです。そのあたりはまったく糸と同じだなと思っていました。

――同じ班の皆さん、本作で共演した5人の俳優さんとはいかがでしたか?

 みんなとは、すごく仲良くなりました! 広島で2週間ロケをしていたんですけど、ほぼ毎日みんなで一緒に夜ごはんを食べましたし、メンズたちは一つの部屋に集まってスマブラしたり(笑)。今でもプライベートでごはんを食べに行ったりするぐらい、すごく仲良しです。

 撮休の日は厳島神社に行ったり、原爆ドームに行ったりもしました。本当に修学旅行をしているみたいな生活が送れて楽しかったです。厳島神社は、そこら中に鹿もいましたし(笑)、東京では感じられない自然の豊かさを感じられて、とても居心地がよかったです。

――6人一緒のシーンが多い中でも、特に印象に残っている場面はどこですか?

 橋の上でのシーンがすごく印象に残っています。みんなの感情が高ぶるシーンなんですけど、撮り終えて「カット」とかかった瞬間、みんなで「お疲れさま!」、「よく頑張った」と言って泣きながら抱き合いました。

 6人とも本当に集中して取り組んでいましたし、物語上も6人がそこで一つになるのですがそれと同じくらい、僕らも一つになれていたというか。今思い出してもちょっと感動しちゃうぐらい、いいシーンだったと思います。

2025.04.30(水)
文=赤山恭子
写真=佐藤 亘
ヘアメイク=SUGA NAKATA(GLEAM)
スタイリスト=能城匠