今一番うれしいことは、次の作品が撮れるということ
――監督は、日本と韓国を見ながら、作りたいものをどのように作っていこうと思われますか。
イ・ユンソク 自分は、作りたいものがあれば、商業でもインディーズでもどちらでもいいと思っています。でも、韓国に戻ってきたからには商業ベースでやらないと成立しないところはあって、一本目を作ってみて、予算を回収する難しさは至難の業だなと感じているけれど、それでも、回収できるようにしていきたいと思っています。
私自身も、三宅唱さんや濱口竜介さんや黒沢清さんが好きで、そのような映画が作れればいいなと思いつつも、商業監督として、毎年映画を撮っていきたいと思うし、その中のフィルモグラフィーの中で、評価されるものが作れればいいなと思っています。今は生き残るための映画をとって、次も準備して完成したらまた次を撮りたいです。

監督だから、自分の撮りたいものをとって評価されたい気持ちもあるけれど、今一番うれしいことは、次の作品が撮れるということです。今はあんまりこういう路線で行こうというよりも、続けていけば評価される作品も撮れるだろうしという感覚です。
――今後も、日本でも作品を撮りたいという思いはありますか。
イ・ユンソク 映画が最終的に成立するためにはいろんな過程があるので、今年準備すればすぐに撮り始められるではないんですね。今は6月からクランクインする新作の準備をしています。この作品にとりかかりながら、その間に次の作品も準備していて、それが日本で撮影できればいいなと考えています。今まで20年間、日本で映画の仕事をしてきたので、日本の演者さんやスタッフと仕事できればいいなと考えています。
――最後に、日本でこの映画に関心を持っている方に、一言お願いします。
イ・ユンソク ジェヒョンさんのファンの方は、映画祭にも見にきてくださった方も多くて感謝していますし、この映画の楽しみ方も知っていると思います。ファンの方にも、そしてまだ見ていない方にも、ジョンユンという女性キャラクターの生き様を見てほしいですね。私は、この映画をジュヌとジョンユンという二人のロードムービーのようにも見えるといいなと思って作りました。今を生きるために、ふたりが夜の街を旅する姿を、自分の個性として映画に入れました。そして、ふたりを祝福したくてこの映画を作りました。そんなところも感じていただけたらと思います。
『6時間後に君は死ぬ』

原作:高野和明『6時間後に君は死ぬ』(講談社文庫)
監督:イ・ユンソク
出演:チョン・ジェヒョン(NCT)、パク・ジュヒョン、クァク・シヤン
2024年|韓国・日本|90分|ビスタ|5.1ch|原題 :6시간 후 너는 죽는다|英題:YOU WILL DIE IN 6 HOURS
字幕翻訳:石井絹香|配給:クロックワークス|映倫:G
公式サイト:https://klockworx.com/die6hours 公式X:@klockworxasia
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5月16日(金)シネマート新宿ほか全国公開

2025.05.15(木)
文=西森路代