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 吉田鋼太郎さんが芸術監督を務め、2024年5月にスタートした“彩の国シェイクスピア・シリーズ 2nd”。オープニングの『ハムレット』に続き、注目の第2作目は四大悲劇と呼ばれる作品のひとつ『マクベス』が上演決定! タイトルロールのマクベスを演じるのは藤原竜也さん、そして妻となるマクベス夫人役には土屋太鳳さんが抜擢された。

 これまで数多くの作品で活躍してきた土屋さんだが、シェイクスピア作品に出演するのは今回が初めて。大きな挑戦を前に「自分の足りないものがわかるきっかけになるかもしれない」と緊張と興奮で、土屋さんは瞳を輝かせる。稽古前の今感じていること、ありのままの気持ちをインタビューで聞かせてもらいました。


「悪女って…最初から悪女じゃないと思う」

――『マクベス』マクベス夫人で出演されます。マクベス夫人と言うといわゆる“悪女”であり、夫を滅ぼした女性・愛を貫いた女性・権力に溺れた女性など様々な解釈があると思いますが、現段階で土屋さんはどのような人物だと捉えていますか?

 台本を読んでいて、マクベス夫人は献身的な女性だったんじゃないかな、と私は思っています。一生懸命マクベスをただ守ろうとしていたし、幸せになりたいけど、幸せじゃない時間が長かった人なのかな、と。そしてどんどん心が壊れていってしまった。そのことに気がつかずに、また誰かを守ろうとしたから起きてしまった悲劇なのかなと捉えています。

 悪女って…最初から悪女じゃないと思うんですよね。何か守りたいものがあったからかもしれないと、その過去をしっかり見るべきだなぁと思っています。それが結果、悪女に見えてしまっているのかもしれないですけど。

 (マクベス役の藤原)竜也さんをしっかり見ながら演じていきたいなと思っています。

――今回のオファーは、吉田鋼太郎さんから直々にいただいたのですよね?

 以前共演させていただいて、数年前にお声をかけていただきました。今はお声がけいただいたときとは違うライフステージで生活していますので、もしこの変化がなかったとしたら、どんな夫人を演じることになっていたんだろう……と思います。

――それは本当に驚きですね! シェイクスピア作品で吉田さんや藤原さんとご一緒することについては、いかがですか?

 鋼太郎さんも竜也さんも、私にとって「マジで、本当に、憧れの人!!」なんです。レジェンドですよね。

 なので、私はとにかく必死についていきたいと思います。鋼太郎さんの演出される舞台は、現代と中世を合わせたような印象です。どんな風になるんだろうって、まだ想像ができなくて楽しみです。

――ちなみに、シェイクスピア作品は初出演ですよね?

 そうなんです。シェイクスピア作品、しかも彩の国に行けるなんて、私にとっては夢の一つでした。

 16歳で長谷川博己さんと共演させていただいたときに、蜷川(幸雄)さんの存在を知ったんです。『から騒ぎ』とか『冬物語』とか、本当にいろいろな作品を送ってくださったのでDVDでみっちり見ました。

 わたしは昔から「ストイックへの憧れ」があったんです。蜷川さんの演出は、すごくストイックだと伺ったので。

 衝撃を受けるくらい厳しい演出だとしても、それぐらいしないと、お芝居なんてうまくならないんじゃないかなって。舞台の方々はアドリブに見えても、そう見えるくらいものすごく練習していますよね。それがのちに本当にアドリブでやったときの瞬発力にもつながっていると思っています。

2025.04.18(金)
文=赤山恭子
写真=佐藤 亘
ヘア&メイク=尾曲いずみ
スタイリスト=藤本大輔(tas)