なお前述のChatGPTについては、例外的にローカルだけでは動作せず、クラウドとの通信が必要になります。ChatGPTを完全に内部に取り込まず、外部サービスのまま連携する形にしているのは、「Apple Intelligenceだけならば操作がローカルで完結するので、プライバシー面でも安心」とアピールする余地を残したいためなのかもしれません。

「あのAppleが言っていることなのだから」という信頼頼みか
以上が現時点でのApple Intelligenceの機能で、個別の機能だけ見ていけば他社のスマホやツールにも見られるものが多くあります。なので新鮮味はありませんが、これだけの数がまとまってリリースされ、かつ既存のアプリが底上げされるというのは、iPhoneの進化の流れを考えた場合、ひとつの節目になるであろうことは理解できます。
したがって、このApple IntelligenceのためだけにいますぐiPhoneを買い替える必要はないにしても、将来的にすべてのiPhoneに搭載されるようになって以降は、それらがない環境に逆戻りするのは難しいはずで、受け入れて活用する心構えだけは持っておいたほうがよいと感じました。こうしたツールは前向きに使うか否かが、使いこなしのカギになることもしばしばだからです。
ただ現時点では、未完成かつ全体に不透明な部分も多く「あのAppleが言っていることなのだから、おそらく生活をより豊かに、かつ便利にしてくれるだろう」という信頼感頼みの面があることは否定できません。本来ならば新型iPhoneの発表と足並みを揃えて華々しく発表すべきで、そうすることでようやく正しい価値が広まったのではないか、そうした部分は少々もったいなく感じてなりません。

2025.04.19(土)
文=山口真弘