前篇では、ミニピルの基礎知識を中心にお伝えしましたが、後篇となる今回は、「ミニピル」を飲んでみたいと思った時、どういったことに気をつけるといいのかを産婦人科医の八田真理子先生に教えていただきます。

●お話を聞いたのは……

産婦人科医 八田真理子先生

聖順会 ジュノ・ヴェスタ・クリニック八田 理事長・院長。日本産科婦人科学会専門医。実父が開院した「八田産婦人科」を継承し、地域に根差したクリニックとして思春期から老年期まで幅広い世代の女性の診療・カウンセリングに従事している。


ミニピルと同じ成分の治療薬は日本でも使われているから安心

――ミニピルは海外では一般的なものだと聞きますが、日本ではじわじわと普及し始めているとはいえ扱っている診療機関はまだまだ少ないのが実情です。とても失礼な言い方ですが、ミニピルの知識を持っている先生も少ないと思っていたほうがいいのでしょうか?

八田先生 ミニピルは海外ではProgestin-only Pillを略してPOPと呼ばれるなど、経口避妊薬として広く使われているお薬ですが、日本では未承認のため自由診療になります。

 ですが、日本でもミニピルと同じ黄体ホルモン剤は治療目的に使われていて、種類もいくつかあります。私のクリニックでは、月経不順、月経調節、過多月経、月経困難症の治療に「ノアルテン」などの保険適用薬を処方しています。ですので、治療薬として黄体ホルモン剤を使用した経験を持つ婦人科医は多くいるはずです。

 また、知識として持っておいてほしいのは、低用量ピルも避妊目的の場合はOC(Oral Contraceptives)と呼ばれていて保険適用外の自由診療であり、月経困難症や子宮内膜症の治療目的のものはLEP(Low dose Estrogen Progestin)と言って保険診療になります。

――日本でも黄体ホルモン剤が治療目的で処方されているとわかると安心ですし、ミニピルを試してみたいという気持ちになります。実際に服用する際に、低用量ピルとの違いはありますか?

八田先生 大きな違いとしては、ミニピルには休薬期間がないことが挙げられます。低用量ピルは28日を1サイクルとして、21日間はピルを服用し、7日間は休薬または偽薬を服用します。休薬期間に入って2~3日すると、消退出血と言って生理のような出血があります。これに対し、休薬期間のないミニピルでは基本的に消退出血が起こりません。

 これをメリットと感じるかは人それぞれで、例えば、パートナーのいる方であれば、消退出血が起こることで妊娠の可能性を否定できますが、出血のないミニピルでは「もしかして妊娠しているかも?」と不安を抱く方が一定数いらっしゃいます。

 また、ミニピルは低用量ピルと同じく1日1回の服用ですが、低用量ピルよりも服用する時間の管理が大切で、毎日ほぼ一定の時刻に服用するようにします。大幅に時間がずれてしまうと効果が失われて排卵したり、不正出血をしたりという原因にもなります。

2025.04.18(金)
文=今富夕起
写真=Aflo