2004年、東京・代官山に1号店をオープンして以来、「肌や心に、おいしいものを。」をコンセプトに、オーガニック&ナチュラルコスメ市場をけん引してきた「コスメキッチン」。

 実は、フェムケアアイテムの取り扱いも業界に先駆けていました。現在も幅広いフェムケアアイテムを取り扱うバイヤー・マーチャンダイジングの清水朝子さんに、店舗で扱うようになったきっかけやトレンドの変遷、今イチオシのアイテムなどについてたっぷりお聞きしました。


創業当時の2004年からフェムケアアイテムを販売

――2025年3月現在、全国に67店舗を展開する「コスメキッチン」。国内外問わず、ナチュラル&オーガニックに特化した化粧品を中心に取り扱う人気店です。フェムケアアイテムを扱うようになったのは?

清水さん 実は、創業当時の2004年から取り扱っているものがあります。現在も売れ続けているチェコのブランドのボディオイルで、母娘の二世代でご愛用くださっている方もいます。当時、ある販売スタッフがPMSに悩まされていたときに、デリケートゾーン専用のアイテムを使ったところ、「悩みが軽くなった」と話していて、そこから“フェムケア”という分野に注目したのがきっかけと聞いています。

――一人のスタッフの声を拾い上げたのがきっかけとは驚きました。現場の声を大切にしているのが垣間見えます。

清水さん どんなブランドを扱うか、そして仕入れるかというのは、もちろんバイヤーが判断していますが、店舗スタッフの意見やスタッフが聞いたお客様の声をとても参考にしています。特にフェムケアアイテムに関しては、デリケートゾーンは皮膚の42倍もの経皮吸収率があるということもあり、確固とした成分ポリシーがありますが、それに敵ったものならば、候補に挙がることは多々あります。

――フェムケアアイテムのみならず、「可能な限りオーガニック原料や天然由来原料を使⽤しているものを扱う」という成分ポリシーがあるそうですね。

清水さん お客様に「コスメキッチンに来れば、安心して使えるアイテムがある」と思っていただけるように安心・安全は担保したいと思っています。ですから、候補に挙がっていても成分を確認したうえで、販売を見送るものもあります。

――特に、デリケートゾーンに使用するフェムケアアイテムはそのあたりがとても重要ですよね。

清水さん 個人的な意見ではありますが、フェムケアアイテムはスキンケア以上に「自分をいたわる」という意識で使用するものだと思います。ですから「手に取りたくなる」「使っていて楽しい」「継続的に使える価格帯」ということにこだわっています。

ここ数年で、世間のフェムケアに対する意識は激変!

――20年前、フェムケアアイテムを店舗で扱うことに関し、社内からはどんな声があがったのでしょうか?

清水さん 「コンセプトに合っているし、やるべきだ」という肯定的な意見ばかりだったと聞いています。ただ、生理用ナプキンの取り扱いは難しかったですね。当時は「隠れて買うもの」という意識があって、ドラッグストアで買ってもこっそり中の見えない紙袋に入れられるような時代でしたから……。販売しにくいのでは、という意見もあったようです。

――今は、生理用ナプキンをコソコソ買うということはなくなりましたよね。

清水さん 10年くらい前は、フェムケアアイテムを購入するきっかけというのは「憧れのモデルさんや女優さんが使っているから」が多かったような気がします。当時は海外製のアイテムばかりでしたが、ここ数年で日本製のものがとても増えましたよね。日本のアイテムは、悩みに応じて製品が細分化されていたり、洗浄料を例にするならば、海外製のものは自分で泡立てが必要なのに対し、日本製のものは泡状で出てくるなどの差があると思います。

 また、2~3年前から一部の店舗とオンラインストアでプレジャートイの取り扱いを始めたのですが、このときは「お客様のために、導入すべきだよね」となりました。本当に、時代が変わったと認識しています。

2025.03.26(水)
文=増本紀子(alto)
撮影=平松市聖