この記事の連載
- インタビュー【前篇】
- インタビュー【後篇】
日本のフェムテック元年と言われる2020年以降、さまざまなアイテムやサービスが登場し、注目を集めています。その中でも吸水ショーツは、日本のフェムケアをけん引する象徴的なアイテムですが、台湾では2018年に、アジア初となる吸水ショーツブランド「ムーンパンツ」が誕生しています。
台湾の生理を変えたと言われる「ムーンパンツ」の共同創設者であり、その開発の舞台裏を知ることができる書籍『生理を、仕事にする。台湾の生理を変えた女性起業家たち』(アジュマブックス)の共同著者であるユアンイーさんに、台湾の生理用品の発展や「ムーンパンツ」の開発背景などを伺いました。
2003年頃の台湾には生理用品の選択肢はほとんどなかった
――フェムテックへの注目が高まっていくなかで、生理用品の選択肢が広がってきました。台湾では、どのように生理用品が発展していきましたか。
台湾で海外製の生理用ナプキンの販売が始まったのは、1960年代です。そこから広く普及していき、1970年代になるとタンポンの販売が始まります。2007年にはエコな生理用品として布ナプキンが注目され、その後、2015年に月経カップ、2018年に吸水ショーツ、2022年に月経ディスクが市場に登場しました。
フェムケアアイテムを象徴する吸水ショーツや月経カップを取り入れている人もいますが、全体の5%程度です。まだまだアイテムそのものが知られていない状況と言えますし、タンポンも比較的新しい生理用品と認識されているところがあります。
――ユアンイーさんが生理や生理用品に興味を持つようになったのはいつ頃からですか。
私は2003年頃から、生理や生理用品について取り上げていたブロガー・ヴァネッサさんの記事やコメントを読むようになりました。この時、生理用品の選択肢がこんなにあることを初めて知ったんです。そこから生理について多くの学びを得ながら、ヴァネッサさんのファンとしてブログで紹介されていた生理用品を買って試すように。
ただ、当時、市場にはほとんど出回っておらず、例えば、タンポンは販売に必要な医療機器許可証などの関係で2種類しかなく、どちらもアプリケーターがないフィンガータイプ。その後、ヴァネッサさんが2010年に、台湾初のアプリケーター付きタンポン「Kirakira」を開発し、販売するまでは、ずっとそのような状況が続いていました。
そして、吸水ショーツはアメリカのブランドが1種類のみでしたが、まったく普及していなかったですし、吸水面が厚くて高温多湿の台湾には合わないと感じました。
――そのことが、吸水ショーツブランド「ムーンパンツ」の開発につながっていきましたか?
はい。「それなら台湾製の特殊機能付きの生地で、世界一の吸水ショーツを作ろう」と開発を始めました。
また、台湾はエコ活動が盛んです。マイ箸、マイボトルを持ち歩き、スーパーやコンビニに行く時はエコバッグを持参します。使い捨てナプキンは、どうしてもゴミになってしまいますよね。だからこそ、「繰り返し使える布ナプキンがいい」という声が聞かれるようになり、「環境にも優しい生理用品を選ぼう」といった意識が高まってきたという点も吸水ショーツ開発の後押しになりました。
2025.01.31(金)
文=木川誠子