ピルの服用で子宮を休ませて、将来の妊娠に備える

――黄体ホルモン(プロゲステロン)単独剤のミニピルと、エストロゲンとプロゲステロン配合剤の低用量ピルで、その働きがほとんど変わらないというのが理解しにくいのですが……。
八田先生 ミニピルを飲むと黄体ホルモンの働きによって、排卵と子宮内膜の増殖が抑制されます。排卵しない限り妊娠はできませんし、子宮内膜が厚くなるのを抑えることで月経痛は軽減し、経血量が減るので過多月経の改善にもなります。同様に、子宮内膜が薄い状態を維持できることで、子宮内膜症の改善効果も期待できます。
ただ、女性の体はエストロゲンとプロゲステロンがアクセルとブレーキのように働いてバランスを取っているので、黄体ホルモン単独のミニピルでは出血のコントロールがうまくいかないことがあり、不正出血は高率に起こります。多くのケースでは、飲み始めの2~3カ月を過ぎると安定しますが、中には、生理並みの出血がある人、少量の出血がダラダラと続く人もいます。
また、ミニピルの場合、低い確率ではありますが、ごく稀に排卵が起こることがあり、タイミングによっては妊娠する可能性がゼロではないことは知っておいたほうがいいでしょう。
――ピルを飲むと妊娠しにくくなるのでは? と心配する人もいますが、実際のところ、どうなのでしょう?
八田先生 実はまったく逆で、ピルの服用を中止した直後の2~3カ月はとても妊娠しやすくなるという印象です。実際に、ガイドラインにも中止後3カ月以内に約90%の確率で排卵が再開すると記載されています。ピルの服用によって卵巣や子宮がお休みしていたので、服用中止後は「さぁ、働かなくちゃ!」と排卵し、子宮も受精卵が着床しやすい環境になるので妊娠しやすくなるのだと思います。
ピルの服用中は高確率で避妊ができ、ピルの服用をやめた直後は妊娠しやすくなる。そんなふうに覚えておくと、ライフプランを組み立てる時にも役立つと思いますよ。
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2025.04.18(金)
文=今富夕起
写真=Aflo