チョン・へインが考える理想のベテランとは

――もし俳優になっていなかったら、何になっていたと思いますか?

チョン・ヘイン 俳優になっていなかったとしても、やはり俳優の道に挑戦していると思います。

――今後、挑戦してみたい役はありますか? また、どのような役者になっていきたいですか?

チョン・ヘイン 経験したことのない役柄なら、どんなものでも挑戦してみたいです。これからも感謝を忘れない俳優でありたいですし、皆さんを楽しませることができる俳優になりたいです。

――日本の観客の方々には、どんなところに注目して映画を観てほしいですか。

チョン・ヘイン 今回の映画は連続殺人事件を追う刑事たちの話ではありますが、実は社会的な現象についても描いているというところがあって、そこを重点的に観てほしいです。そして映画をご覧になった後で、観客の皆さんがそれぞれ考える正義についてもう一度考えてみてほしいです。そして僕の新しい姿にも期待してくださったらうれしいです。

――アクションシーンがとても激しいですが、ヘインさん自身の印象に残っているアクションはどの場面ですか?

チョン・ヘイン とにかくアクションシーンが多かったのですが、特にインパクトのあるアクションと言えば、やはり階段でのシーンですね。そして個人的に印象に残っているのは、私が演じたパク・ソヌが、ファン・ジョンミン先輩が演じるソ・ドチョル刑事に、男性の非常に大切な部分を思い切り攻撃されるところですね。あのシーンは撮影していて、本当にもう困ってしまった記憶があります。今思い出しても、すごく辛いですね(笑)。

――では、あなたが考える理想のベテランとは?

チョン・ヘイン 僕が思うに2つのかたちがあるような気がします。1つは、映画人としての理想のベテラン。それは韓国映画ならではのアクションができ、犯罪ものを引っ張っていくスターと言えるような人が、理想的なベテランです(筆者註: つまりファン・ジョンミンのことを指していると思われます)。この映画『ベテラン』がまさにそうですし、シリーズとしてこれからも多くの人に愛されてほしいと思っています。もう1つの意味では、自分の居場所で、自分の仕事を一生懸命頑張って、他人の鑑になれる人。そして他の人を助けられるような人が理想のベテランと言えると思います。

『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』

武闘派のベテラン刑事ソ・ドチョル(ファン・ジョンミン)と、凶悪犯罪捜査班の刑事たちが活躍した前作から9年後。法では裁かれない悪人をターゲットにした連続殺人事件が起きる。不条理な司法制度に憤っていた世間は、私刑を下す殺人犯を善と悪を裁く伝説の生き物ヘチと呼び、正義のヒーローとして持て囃す。ソ・ドチョルのチームには彼に心酔する熱血新人刑事パク・ソヌ(チョン・ヘイン)が加わり、事件は解決に近づくかのように見えたが…。

2025.04.12(土)
文=石津文子
写真=細田 忠