アメリカ発のアウトドア企業「パタゴニア」。自然⇔街をシームレスにつなぐコンフォートなラインナップのなかでも、今季注目はコットン製アイテム! 自然界に存在するものからインスパイアされたというニュアンスカラーを纏い、思わず外に出かけたくなる心地よさとデザインを兼ねたアイテムが豊作なのです。

 ところで、パタゴニアといえば「オーガニックコットン」のイメージが強いという人も多いと思いますが、じつは4種類のコットンを使用しているのはご存じですか? 本記事では今季のおすすめアイテムとともに、地球と次世代の未来のために、パタゴニアが展開する4種のコットンとその取り組みについてご紹介します。


なぜオーガニックが必要? 始まりは“スタッフの体調不良”

 2025年で創立52周年を迎えるパタゴニア。展開するすべてのビジネスは、“SAVE OUR HOME PLANET=私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む”というミッション・ステートメントを表明し、本質的な解決に向けた環境問題に取り組んでいることは、ファッションやアウトドア好きであれば周知の事実でしょう。

 そうした取り組みを象徴する素材の一つが、オーガニックコットン。パタゴニアは1996年に100%オーガニックコットンへ移行しています。

 コットン製品がほとんどであった当時、オーガニックコットンへ移行することは倒産のリスクを背負うことでもありました。にもかかわらず、大きく舵を切ったのは、コットン製品を着ていた店舗スタッフが体調不良を起こしたことがきっかけでした。

 ピュアでナチュラルだと信じていたコットンが、調査の結果、じつは多くの農薬が使用されていたことが判明。数字にすると、全米の農薬使用量の10%が、農地全体の1%にすぎないコットン栽培に使用されており、土や水、空気、多くの生物に多大な害を与えていたのです。

 なぜオーガニックコットンに変える必要があるのか? それは人体の健康は言うまでもなく、土壌の質を向上させ、生物多様性、ひいては自分たちが住む地球環境を保護するためなのです。

パタゴニアでは4種類のコットンを使用

 有機農法で栽培される「100%オーガニックコットン」に加え、製造工場から出た端切れを使用する「リサイクル・コットン」、オーガニック最高水準の認証を得た「リジェネラティブ・オーガニック・サーティファイド・コットン」、そして有機栽培されながら、まだオーガニック認証を受けていない移行期間中の「コットン・イン・コンバージョン」。

 現在、パタゴニアではこれら4種類のコットンを使用しながら、オーガニックな農業への転換を目指しています。

2025.04.19(土)
文=平野美紀子
写真=釜谷洋史