お洒落や快適さを味わいながら、よりよい未来に貢献できる

そもそもポリエステルなどの化学繊維に関しては、ほとんどバージンを使用していないパタゴニア。コットンもよく考えればバージンを使う必要がないかもしれません。
それでもバージンコットンにこだわる理由は、土を変え、生態系を整え、農業システムを根底から転換しながら、気候危機を解決していくことにコミットするため。
その最たる例が、「リジェネラティブ・オーガニック・サーティファイド・コットン」です。

リジェネラティブ・オーガニックとは、2017年にパタゴニアを含む複数の企業や団体が共同で創設した国際認証のこと。
土壌の健康、動物福祉、労働者の公平性という3軸で構成された、いわば“最高のオーガニック基準”をクリアした農法で育てられた植物や繊維のみに与えられます。
自然と調和しながら育て、豊かな土地や生態系を取り戻し、農家の健全な経済活動を守る。リジェネラティブ・オーガニック・サーティファイド・コットンのアイテムに袖を通してお洒落を楽しむことが、よりよい未来の構築に一役買っているなんて、何だか素敵じゃないですか?

オーガニック認証取得までの道のり……「コットン・イン・コンバージョン」で農家を支援しよう

オーガニックコットンは、徐々に世の中に浸透し始めている。そのように感じている人もいるかもしれません。でもこの数十年でオーガニックコットンはほとんど普及しておらず、世界のコットンのうち、有機栽培によるものは1%以下というのが現状です。
その背景の一つとして、オーガニックコットンへの移行に莫大な手間とコスト、そして最低でも3年の時間を要することがあげられます。
そこでパタゴニアは、2020年から「コットン・イン・コンバージョン」を導入。有機栽培する農家が認証を受ける過程の間でもコットンを販売できるプログラムによって、オーガニックコットンの認証を目指す農家を中長期的にサポートしています。

これまでに作られた資源を活かす「リサイクル・コットン」、現在進行系で有機栽培されている「オーガニックコットン」と「コットン・イン・コンバージョン」、そして未来の地球を育む「リジェネラティブ・オーガニック・サーティファイド・コットン」。パタゴニアが4種類のコットンを使用しているのは、よりよい地球環境を目指すためにあらゆる角度からアプローチしている結果なのです。
単に「オーガニックコットンって、いいモノだよね」という認識から一歩理解を深めることで、袖を通したときの心地よさ、喜びは何倍にも膨れ上がるはず。興味が湧いた人は、ぜひ実際にお手にとってみてください!
2025.04.19(土)
文=平野美紀子
写真=釜谷洋史