レトロ商店街が盛り上げるアート地区で、駅前アート鑑賞〈上総牛久駅〉

小湊鉄道に乗って最初の目的地は、五井駅から7駅目の「上総牛久駅」。ここ牛久地区は、昔ながらの趣を残す牛久商店街を中心に、空き店舗などを活用した「牛久リ・デザインプロジェクト」を推進するアートのまち。アーティストが手がける作品の展示やワークショップなどの活動を定期的に行っています。

駅を出ると、早速アートを発見。駅前の深山文具店の壁一面には、八木秀人氏による巨大壁画「全てのエネルギーはここから始まる。」があり、レトロな街並みに突如大きなインパクトをもたらします。この場所で生きる人々の力の源になるようにとの願いが込められているそう。


牛久駅のすぐそばには藤本壮介氏による作品「里山トイレ」が。こちらは常設展示でもあり、自由に利用できるトイレでもある、他に類を見ない作品です。それぞれが独立した個性的なトイレ4棟と待合室1棟から成るこの場所は、列車の到着を待つ人々の憩いの場に。木々の間にトイレと待合室がある様子はまるで本当の里山の風景のよう。これから訪れる里山の始まりを予感させる風景を創造しています。
過去に「アートいちはら2024秋」で期間限定作品として展示され、次回のアートイベントで鑑賞できる作品もご紹介。

手作業で立体的に編まれた膨大な糸と、光を用いたインスタレーション作品「Analemma(アナレンマ)」。世界のライトアートを牽引する千田泰広氏による作品で、無数の光が生きているかのように飛び交い消えていく、幻想的な空間に包まれます。

アート作品のみならず、大正14年頃に建てられたという上総牛久駅の駅舎も必見。登録有形文化財に登録されている貴重な建物をゆっくり鑑賞するのもおすすめです。
牛久リ・デザインプロジェクト
2025.03.27(木)
文=上野 郁
写真=大森 光太郎、上野 郁