1カ所だけではない「股のぞき」スポット

天橋立は全長約3.6キロメートルの砂州に約5800本の松が茂り、天橋立駅から見て西側は阿蘇海、東側は宮津湾の2つの海に囲まれている。天橋立の定番といえばアレ。そう、絶景を望むのにおもしろい作法がある。それが「股のぞき」。
後ろ向きになって腰を屈め、開いた両足の間から天橋立を覗くあのポーズの発祥は明治時代。傘松公園に展望台を造り、観光振興に寄与した吉田皆三氏が発案したそう。そんな昔から仕掛け人がいたことに驚くが、観光地として120年以上も人気なのは「股のぞき効果」の影響も大きそうだ。

このポーズを取ると、海と空が逆転して、神話さながらに「天橋立が天にかかるハシゴのように見える」というが、日頃、運動不足な筆者は前屈がき、きつい……。「天にかかるハシゴ」が見えたかどうかは定かではない。「落下注意」の看板を見てびびり、景色を愛でる余裕はまるでなかった。
ところで、「股のぞき」スポットは傘松公園から見る「昇龍観」の展望台1カ所だけではなく、反対側の文珠地区にある「天橋立ビューランド」の「飛龍観」、さらには天橋立を横や斜めから見る「益軒観」「天平観」「一字観」「雪舟観」と、全部で6カ所もあるそうだ。

天橋立は歩いて渡る場合、片道約50分かかる。効率よく観光するには、船か自転車を使うといい。
車で来ている人は車で移動するのが早いかもしれないが、せっかくならば観光船で渡ってみたい。天橋立駅や「文珠荘 松露亭」がある文珠地区と傘松公園がある府中地区を結ぶ船は30分に1本運行していて、所要時間は12分。乗船口で売っているカモメのエサ(=かっ○えびせん)を買って、カモメのエサやりにも挑戦してみよう。

2階デッキに上がり、手にエサを持っていると、カモメのほうから近寄ってきてくれる。こんな間近にカモメを見る機会もないから、なかなか楽しい。ただし、カモメの糞には要注意。汚れてもいい格好で出かけるのが安心だ。
観光船の往復と傘松公園の天橋立ケーブルカー、成相寺に向かうバスがセットになった観光券は2,000円で購入できる。
2025.03.06(木)
文・撮影=野添ちかこ