この記事の連載

神話の国だからこそのパワースポット巡りへGo!

 府中地区に着いたらぜひ向かいたいのが、丹後一宮の「元伊勢 籠(この)神社」と奥宮の「眞名井神社」。かつて、この地で天照大神と豊受大神を4年間お祀りしていたが、それぞれ伊勢神宮の内宮と外宮にお遷りになられたので、籠神社はその元宮ということで「元伊勢」と呼ばれている。

 本殿は伊勢神宮と同じ神明造りで、屋根は檜皮葺き。主祭神である天照大神の孫の彦火明命(ひこほあかりのみこと)は、丹後の地に産業をもたらした神様だそう。

 奥宮である眞名井神社は籠神社の右奥にあり、10分ほど歩く。豊受大神の使いである狛龍が見守るなか、深閑とした石段を上っていくと、日常生活のけがれも洗い清められていくよう。神様が降りた磐座(いわくら)が今も鎮座する神聖な場所なので、写真撮影はNGである。

 磐座の主座には生命根源の神・豊受大神、西座には天照大神の2神を祀ってきた。縄文時代からの原初の神祀りの形が続いていて、西の磐座は船の舳先の形で「天の籠船」「天の磐船」とも言われている。御祭神の彦火明命が竹で編んだ籠船に乗って海神の宮(龍宮、常世)に行ったという故事が残り、それが龍宮伝説になったとも。

 岩清水の「天の眞名井の水(あめのまないのみず)」は、縁結びにも効果が高いというからぜひ汲んで帰りたい。また、新月と満月は「むすひ(結び)」のご神威が強くなるときで、この日に籠神社と眞名井神社を参拝することを「産霊詣り」と言うそう。新月、満月を狙って訪問してみるとより運気アップが図れるかもしれない。

観光船の待ち時間に讃岐うどんを堪能! 香川仕込みの「黒ちくぶっかけ」に舌鼓

 お昼を食べそびれたので、府中地区「一の宮駅」の観光船のりば周辺で、観光船を待つ間、手打ちうどんの店「すぎのや」へ立ち寄った。香川県のうどん店で修業した店主が讃岐うどんを出す。何分でできるかを聞くと、10分ほどでできるという。10分で食べれば、じゅうぶん次の観光船に間に合う。

 ということで、ちょっと慌ただしい昼食であるが、名物「黒ちくぶっかけ」を食べてみた。出てきたうどんはもっちり、シコシコと弾力のある讃岐うどん。京風うどんは細めでもちっとした食感だが、私は讃岐うどんのほうが好き。

 とり天、紅芋とヨモギを練り込んだ赤と緑のもち天、宮津名産の黒ちくわの天ぷらがのって、食べ応えもあって、うどんとダシ、黒ちくわの相性が絶妙。今度はゆっくりと味わいに訪ねてみたい。

 観光要素の強い「股のぞき」へと向かうケーブルカーはインバウンド客が多かったけれど、眞名井神社を参拝する人は元伊勢巡りをするような人が静かに訪ねる印象。「文珠荘 松露亭」に泊まったら、智恩寺文殊堂だけではもったいない。府中地区にある丹後一の宮 元伊勢 籠神社と奥宮の眞名井神社まで足を延ばしてみてほしい。

丹後一宮 元伊勢 籠神社

所在地 京都府宮津市字大垣430
電話番号 0772-27-0006
https://www.motoise.jp

すぎのや

所在地 京都府宮津市江尻71
電話番号 0772-27-0040
https://suginoyaudon.com

野添ちかこ(のぞえ・ちかこ)
温泉と宿のライター/旅行作家

「心まであったかくする旅」をテーマに日々奔走中。NIKKEIプラス1(日本経済新聞土曜日版)に「湯の心旅」、旅の手帖(交通新聞社)に「会いに行きたい温泉宿」を連載中。著書に『旅行ライターになろう!』(青弓社)『千葉の湯めぐり』(幹書房)。岐阜県中部山岳国立公園活性化プロジェクト顧問、熊野古道女子部理事。
https://zero-tabi.com/

← この連載をはじめから読む

Column

車で1泊2日の別世界へ、週末ラグジュアリー旅

週末に、心が洗われる別世界へ出かけてみるのはいかが。少し車を走らせれば、そこにはおもてなしの心に満ちた極上の宿が待っている。旅行作家の野添ちかこさんが、1泊2日の週末ラグジュアリー旅を体験。その極上体験をレポートします。

2025.03.06(木)
文・撮影=野添ちかこ