意外と猫っぽい? アザラシの豊かな感情表現
――『アザラシまるごとBOOK』では、種類や動きなどアザラシを深く知るためのコンテンツがいっぱいあります。本を作る中で小林さんが驚いたことは何でしょうか?
小林 当たり前なのですが、アザラシにも感情表現があることです。動物園や水族館で会えるとはいえ、やっぱり少し遠い存在だからか、こんなに感情豊かだと思っていなかったんですよね。

私は猫を飼っているんですが、けっこう近しいものを感じます。白目がちな顔で迷惑そうに人間を見たり、ごはんの時は「早く」と、人間の目を大きな黒目で見つめて急かしていたり。そういう表情には、やっぱりきゅんとしてしまいますね。
意外だったのは、あんなにかわいいのに獰猛な面も持ち合わせていることですね。「ピーテルブーレンアザラシセンター」のスタッフさんが、「野生のアザラシに出会ったら、30メートル以上は離れろ」と口を酸っぱくして言っているんです。
実際、身の危険を感じると噛みついたり、ハイイロアザラシは250キログラムにもなる生体もいて、這って歩くスピードにもすごい勢いがあるんですよね。それを知ると、30メートル以上離れることも納得。アザラシについて知らなかったことがいっぱいあって、編集作業中も驚きの連続でした。

――小林さんの心を掴んだアザラシは?
小林 アザラシの仲間は14属18種で構成されていて、種類によって顔立ちが結構違うんです。かわいいと評判なのは、黒ベースの体に白い斑点模様がついている「ゼニガタアザラシ」。目がクリクリですごくかわいいんですよね。でも、目が小さくてちょっと馬面な「ハイイロアザラシ」も愛嬌があって、最高にかわいいです。
――『アザラシまるごとBOOK』は写真がたくさん盛り込まれているのも魅力の1つだと思います。ズバリ、小林さんのお気に入りの1枚は?
小林 3頭でそれぞれの表情を見せてくれている1枚も好きですし、プールサイドで休んでいる「ノザラシ」もかわいいですし……。それぞれ個性と性格が滲み出ていて好きなんですが、一番は裏表紙にもなっている「タコニキ」をエッポが抱きしめている1枚ですね。

「ピーテルブーレンアザラシセンター」のプールの中には、アザラシが本来の習性を生かすためにおかれる玩具・エンリッチメントがあって、数種類がローテーションされるんですが、タコの形をしていることから、茶道部員さんたちが「タコニキ」と呼んで大盛り上がり。そんな「タコニキ」を大切そうに抱きしめている姿と表情はたまりません!
――すでに売れに売れているかと思いますが、『アザラシまるごとBOOK』をどんな人に読んでもらいたいですか?
小林 茶道部員さんたちに喜んでいただきたいというのは、もちろんあります。あとはお子さんにも読んでいただいて、かわいいアザラシの新しい魅力に気づくきっかけになったら嬉しいです。それから、猫好きの方にもぜひ(笑)。猫との親和性も高いと思います!

アザラシまるごとBOOK (TATSUMI MOOK)
今泉忠明 監修 南幅俊輔 編著
定価 1,650円(税込)
辰巳出版
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2025.03.06(木)
文=船橋麻貴
写真=『アザラシまるごとBOOK』(辰巳出版)