全国花火名人選抜競技大会 ふくろい遠州の花火(静岡県)

花万雷(はなばんらい):「花雷(はならい)」は、音とともに強い光と火の粉をだす花火で、多くの「花雷」が一斉に開いたものを「花万雷」と呼びます。強い光の周りに火の粉がやさしく包みこんでくれるような、強さとやさしさをもっている花火に癒されます。

「ふくろい遠州の花火」は国内で最も豪華絢爛な大会の一つとあって、花火の光彩で全身に光のシャワーを浴びることができます。競技大会の他に「日本一名曲メロディスターマイン」、「空中ナイアガラ 大富士瀑布『霊峰』」、「日本一ジャンボワイドスターマイン」と題名が付けられた華やかな花火が度肝を抜くことでしょう。

「名人選抜」という大会名には、全国各地の花火競技会で優秀な成績を収めた超一流の花火師のみに打ち上げてもらいたい、という主催者の強い思いが込められています。その名に恥じず、ここの花火の「質」と「多彩さ」は、まちがいなく一級品。競技大会の優勝者は「文部科学大臣賞」が授与されます。

 袋井市では1945年以降「袋井町商工会」主催で町内の「静橋」河川敷内で打ち上げられており、1995年から現会場で開催されるようになりました。全国花火名人選抜競技大会でもあります。

 2000年には「第一回しずおか観光大賞」を受賞し、いまや国内有数の大会となっていますが、その成功は袋井商工会議所会頭だった豊田順介氏(1934~2005)の熱意に負うところが大きかったといわれています。豊田氏は「遠州トラック」の創業者で、大の花火好きだった方。毎年企業協賛金1,000万を花火に使い、その人柄からか地元では「エントラさんは神様」だといわれていたそうです。

 毎年「大会テーマ」を作るのが特徴のひとつで、2014年には「絆から夢に“音と光のおもてなし"」というテーマのもと「音」と「光」の総合芸術として表現しました。

大会概要
【大会名称】 全国花火名人選抜競技大会 ふくろい遠州の花火
【開催場所】 静岡県袋井市原野谷川親水公園 袋井市愛野3164-1
【観覧席】 有料観覧席あり(要予約)
【アクセス】 電車:JR東海道線 愛野駅から徒歩20分
袋井駅は改装工事中のため、愛野駅をご利用ください。
【URL】  http://www.fukuroi-hanabi.jp/
【問い合わせ】 ふくろい遠州の花火実行委員会(袋井商工会議所内)
TEL:0538-42-6151 FAX:0538-42-9871

泉谷玄作(いずみや げんさく)
写真家。1959年 秋田県に生まれる。花火の撮影をライフワークとする。現代美術作家、蔡國強(Cai Guo-Qiang)氏の依頼で、2002年MoMA(ニューヨーク近代美術館)主催の「動く虹」の花火や、2003年ニューヨークセントラルパーク150周年記念の「空の光輪」の花火などを撮影。著書に、『心の惑星-光の国の物語』(クレオ)、『日本列島 四季の花火百華』(日本カメラ社)、『静岡県ふくろい遠州の花火』(日本カメラ社)、『花火の図鑑』(ポプラ社)、『花火の大図鑑』日本煙火協会/監修 (PHP研究所)、『日本の花火はなぜ世界一なのか?』(講談社+α新書)など、花火に関するもの多数。日本写真家協会会員。

2014.07.12(土)
文・撮影=泉谷玄作