これは急速充電はバッテリーに多少なりとも負荷をかけることから、一定の容量まで回復したあとは負荷を減らすというアルゴリズムによるものです。そのためバッテリー半分の状態から満充電にするよりも、バッテリー残量ゼロの状態から半分まで回復させるほうが、同じ「50%ぶんの充電」であっても、圧倒的に速くなります。

 今回はバッテリー残量15%→65%まで回復させるのにかかる所要時間を測定しましたが、こうした傾向はいずれの充電器でも同様です。ただしナカバヤシDigio2とCIOの両製品は、今回の実験では出力がピークである27Wに一度も届いておらず、完了までの時間を見るとワースト1(32分50秒)、ワースト2(31分59秒)となっています。

 ちなみにゴール到達までの時間がもっとも短かったのはNIMASO(30分01秒)、次いでエレコム(30分18秒)ですが、ワーストの製品と比べても差はほんの3分未満です。ストップウォッチを片手にデータを取らない限り、違いに気づくことはまずなく、製品選びにあたって決定的な決め手になることはなさそうです。

発熱が大きいことはやっぱり減点要因

 さて、充電速度以外にもうひとつチェックしておきたいのが、ボディからの発熱です。現在のUSB PD充電器はGaN(窒化ガリウム)の採用によって放熱性が向上していますが、なかには充電中に手が触れられないほど熱くなる製品もあります。小型化に注力するあまり、放熱がおろそかな設計になっている可能性があります。

 最大出力30Wの充電器は、ノートPCなどに用いる最大出力100Wの充電器ほど高熱にはならず、触れれば即火傷という心配こそ不要ですが、発熱が大きいことはイコール電力の一部が無駄になっており、製品選びの上では減点要因になります。

2025.02.21(金)
文=山口真弘