インナーにもファッションにもなるカップ付きブラが新登場

 購買層の約半数が女性を占めるコンビニエンスウェアから、今季新たに登場するのがカップ付きのブラウェア。

「女性のお客様の認知が増えてきているなか、次なるステップとしてブラウェアに挑戦しました。ショーツの取り扱いはよくありますが、コンビニでブラを作るのはおそらくこれが史上初。何人もの女性に何度も試着してもらいながら、どうすればズレずにフィット感を得られるか、どんな配色が気分が上がるのかなど徹底的に追求しました」

 着け心地のよさだけでなく、さまざまなスタイリングに使える汎用性の高さも特筆すべき点です。

「上にシャツを羽織って肌見せしてもよし、タンクトップの上にレイヤードしてもよし、いちファッションとしても使えるデザインになっています。新しいライフウェアの一つとして、リラックスして着用してもらえたら」

“体調の変化がわかる吸水ショーツ”は社会課題への挑戦だった

 さまざまな人が訪れるファミリーマート。そのなかで、コンビニエンスウェアを通して社会的課題へアプローチすることの重要性を強く感じていると落合さんは言います。

「じつは2年前から吸水ショーツを展開しています。クロッチ部分に無漂白オーガニックコットンを使っているもので、販売した理由に、ネグレクト問題があります」

「吸水ショーツを作るにあたって、多くの方と会話しました。そうすると、生理に関する教育がなされず、衛生用品が自由に手に入らない、あるいは寮や授業中も恥ずかしくてトイレに行けないなどの問題を抱える女性が多くいることを知りました。そんな課題について考えるきっかけとなるよう、経血の色から自分の体調を知ることができるショーツを企画しました。

 今後もコンビニエンスウェアらしいコミュニケーションで、社会課題と向き合った商品づくりを続けていきたい」

国や性別、年齢、体型にとらわれないサイズ展開をどう作るかが課題

 新たなチャレンジを続ける一方で、コンビニエンスウェアが抱えている現状の課題とは何だろうか。

「サイズ感の幅が少ないことですね。私たちの考える最適なサイズバランスは、単純にS~XLのように4サイズで分けられるものではありません。国や性別、年齢、体型など異なるさまざまな人に着てもらえるサイズ展開を作っていくことがこれからの課題で、ベーシックなデザインだからこそ可能性はすごくあると思います」

 広い視野を持ちながら、多くの人の生活に寄り添うアイテムを提供するコンビニエンスウェア。女性向けアイテムのさらなる拡充にも力を入れていくそうなので、今後もコンビニエンスウェアのディスプレイから目が離せません。

落合宏理(おちあい・ひろみち)

デザイナー。2007年に自身のブランド「FACETASM(ファセッタズム))」をスタート。2016年度の「毎日ファッション大賞」では大賞を受賞。同年開催のリオオリンピック・パラリンピック競技大会閉会式では「フラッグ ハンドオーバーセレモニー」の衣装制作も手がけ、さまざまなグローバルブランドとのコラボレーションを行うなど国内外で活躍中。2021年よりファミリーマートのオリジナルブランド「コンビニエンスウェア」のクリエイティブディレクターも担当する。

2025.03.04(火)
文=平野美紀子
撮影=鈴木七絵