
1877年にノルウェーで創業し、船乗りたちのための防水作業着をルーツに持つアウトドアブランド「ヘリーハンセン」より、「アニエスベー」とのコラボレーションアイテムが登場。
意外にもコラボは初めてということですが、海というフィールドへのリスペクト、サステナビリティに対する考え方など、共通するブランドフィロソフィーを持つ両者のコラボレーションは必然だったはず。
アニエスベーらしい自由なエスプリが利いたデザインを、機能服を得意とするヘリーハンセンの生産背景で表現したアイテム。今回はヘリーハンセンの企画担当である井上さんにお話をお伺いしながら、その魅力についてご紹介します。

“海のゴミ”がウィンドブレーカーに サステナブル素材を活用

アニエスベーらしいモノトーンのバイカラーで仕立てられたクールなウィンドブレーカー。
ゆったりしたシルエットながら、ウエスト、裾と2箇所にアジャスター付きのドローコードを配した保温性に優れる構造からは、日常のシーンにおいてもテクニカルな快適さを追求するヘリーハンセンらしさが垣間見えます。

じつはこのウィンドブレーカーの生地、国内の海に捨てられていた漁網を回収し、ナイロン糸としてアップサイクルされた素材を使っているんです。
「今回のコレクションはすべてのアイテムに環境配慮型素材を使用しています。ウィンドブレーカーやトートバッグ、帽子に使用したのは、“ミューロン”という素材。海洋ゴミの約6割がブイや廃棄された漁網と言われており、ミューロンは国内で回収された廃漁網を100%使用した糸で作られています」(井上さん)

「国内の海でこんなにもゴミが発生している。そんな環境問題を正面から訴えかけるのはなかなか難しいですが、快適で気分が上がるファッションを通じて、自分ごと化してもらうきっかけを作ることができたらうれしいですね」(井上さん)
なお、ミューロンはバージンナイロン糸と同等の品質を備えており、安心して身に纏うことができるのもポイント。原料に使われる廃漁網は日本国内のどの地域から回収されたものなのかトレースも可能です。


2025.02.17(月)
文=平野美紀子
写真=杉山秀樹