テクノロジーと「優しさ」について
宮内悠介さんの『暗号の子』は、テクノロジーの新時代を描いた作品集だ。
帯のメッセージは、「わたしたちは、いつまで人間でいられるのか?」。
テクノロジーって、なんだろう。
もちろん、いまの人間が生きていくうえで大事なものだ。
テクノロジーによって、人間性をはぎとられるような感覚もある。いまこの瞬間にも、進化を続けている……。
宮内さんにとって、テクノロジーの原体験は「飛行機」だった。
「4歳のとき、家の都合で日本からアメリカに渡ったのですが、そのときに乗った飛行機です。この移動の前後で、自己やアイデンティティといったものが連続していないような、奇妙な感覚をおぼえました」
宮内さんは高校生直木賞受賞作の『ラウリ・クースクを探して』の主人公と同じように、ニューヨークで過ごした少年時代に旧式のコンピューターと出会っている。同賞受賞記念のトークイベントでは、大学卒業後にプログラマーとして働いた経験が「生きていく上で役に立っている」と語った。
2025.02.05(水)