この記事の連載

 CREA WEBでは「猫」特集が今年も好評公開中です。今回は、猫に負けず劣らず愛らしい動物の親子に会いに、多摩動物公園にお邪魔しました。前後篇あわせて46枚の貴重な撮り下ろし写真とともに、ぜひお楽しみください。

 2024年、東京都多摩動物公園では新しい命がさまざまに誕生しました。4月生まれのアムールトラ・フタバ(オス)、9月生まれのインドサイ・デコポン(メス)です。同年7月には、アジアスイギュウのさち(メス)も誕生し、3頭ともにすくすくと成長しています。

 CREA WEBでは12月下旬、多摩動物公園へ伺い、アムールトラ、インドサイ、アジアスイギュウの親子を取材しました。今回は、インドサイのゴポン、デコポン親子の様子をレポートします。

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おしりまで可愛い! インドサイのゴポン親子

 アムールトラの放飼場に向かう途中、インドサイの放飼場の近くを通ると、お母さんの「ゴポン」と子ども「デコポン」(メス)の姿が。広報担当の方から事前に「寒い時期のため、見られない可能性が高い」と聞いていたこともあり、チャンスとばかりに近づきます。

 しかし、2頭はすぐさま室内へ。繊細なインドサイ、警戒心も強いのでしょう。子どもも一緒ならば、その意識はなおさら。デコポンがもっと小さい頃は、近くで大きい声が聞こえると奥から出てこないこともあったようです。

 飼育展示課の井上邦雄さんに、親子についての詳しいお話を伺いました。

「デコポンが生まれたころ、警戒しているゴポンには私たちにも子どもを見せないようにする行動が多く見られました。成長するにつれてデコポンは母から距離を取り始め、3ヵ月を過ぎた頃から少しの時間であれば壁を隔ててお互いの姿が見えなくても気にしないようになりました。ただ、デコポンがオス側の扉に近づくなど危険を感じたときは、母親がデコポンを制止することもあります」

 アムールトラの親子を撮影後、再びインドサイの放飼場へ。しかし、親子の姿はありません。暖冬とはいえ、インドサイにとってこの寒さは厳しいはず。取材終了時間が迫る中、どこまで粘るかを相談していると、放飼場の裏手から飼育担当者の方の姿が。来園者に向かって「親子は今のんびりしているため、30分は出てこないと思います。最近は午後に出ていることが多いので、12時を過ぎたころに出てくるかもしれません」と教えてくださいました。

 その言葉を頼りに、取材時間を延長して放飼場前で待つことにしました。

2025.02.16(日)
文=高本亜紀
写真=松本輝一