初共演した森田剛は……

──森田剛さんとは初共演ですよね。

成田 はい。お芝居もですが、存在そのものがまわりを惹きつける方で、かっこいい方でした。男性から見ても女性から見ても魅力にあふれる方って、きっと森田さんのような方をいうのだろうなと。

 森田さんとご一緒するシーンでは、感情をどこまでも連れていってもらえる感覚になれて、面白かったです。「こういう動きならこうしよう」みたいなことをやりながら一緒にシーンを作り上げていけたこともありがたかったです。

──竹中直人さんも個性の強い存在です。ご一緒された感想をお聞かせください。

成田 竹中さんも、森田さんとはまた違う意味で強いインパクトがありました。

 いちばん印象に残っているのが、義男と福子の何気ない会話のシーンです。義男と福子が初めて会った日の夜、ふたりきりで話す場面があるのですが、ふたりが話している後ろで、隣の部屋にいる尾弥次(演:竹中直人)がさりげなく口笛を吹き始めるんです。竹中さんは監督もされているので、きっとこういうことをしたら面白い画が撮れると判断されたのだと思います。結果的にすごく叙情的でいいシーンになっていて、あとから観て感動しました。

 

──完成した映画全体については、いかがでしたか?

成田 観終わったときには疲れ切っていましたね。片山監督も「10回目でやっと普通に観られた」とおっしゃっていたので、すごい作品ができたな、とあらためて思うと同時に、こういう作品に参加できたことは本当にありがたいなと思いました。

──成田さんは今年俳優デビューされて10年になります。今作はご自身のターニングポイントになると思われますか?

成田 なるといいですね。片山監督作品に出られたこと、そして義男という役をやらせてもらえたことは、これからの自分にとって財産になると思います。

 ただ、これまでも本当にたくさんの魅力的な作品に出させてもらい、すばらしい俳優の方々とご一緒させてもらってきた延長でいまの自分があるので、これからも出会いを大事に一生懸命やっていきたいという気持ちは変わりません。

そして生まれた新たな目標

──目標だった片山作品に参加できて、新たな目標は生まれましたか?

成田 とにかくたくさん作品に出たいです。みんなと一生懸命、作品を作りたい。

 映画でいうと、僕は映画館に観に行くのが好きなんですけど、最近は「映画館で映画を観る」ということが、特別になりつつありますよね。巨大なスクリーンで世界観に没頭できる映画って、すごく贅沢な時間なので、もっと当たり前にみなさんが映画館に行ってくださったらうれしいなと思います。

 だから、映画にもたくさん出て、映画館に観に行きたい!と思っていただけるように頑張りたいですね。

──ありがとうございました。

撮影 山元茂樹/文藝春秋

2024.12.11(水)
文=澤 洋美