9月29日の放送では、中宮彰子が「源氏物語」を豪華な冊子にして天皇に献上した。言われるがままに12歳で帝の妻となり、受け身で生きる女性として描かれた彰子が、まひろのつくった物語によって自我を表現するようになった。また、「源氏物語」を読むシーンでは公式の歴史書である日本書紀よりも物語の方が上であるという一節をだした。“物語”への賛歌であった。

 もはや10月、「光る君へ」の放送も最後のコーナーに差しかかってきた。「ベルサイユのばら」ならば、フランス革命の激動があって大団円を迎える。大石さんとスタッフが「物語」の力で、どれだけ引っ張って行ってくれるか、楽しみである。

 ところで妻にとって、いま一番印象に残っているのは天皇だという。まわりが十分世話してくれるのだろうが、いつも閉じ込められている。「ああいう生活はしたくない」のだとか。

2024.10.19(土)
文=広岡裕児