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リサがティッシュの中から取り出した柴犬の置物

 あるときには、リサが”ちょっと来て”といって私を玄関に呼び出して、握りしめていたティッシュの中から小さな柴犬の置物を取り出したんです。私へのプレゼントだったのですが、ドキドキした様子で反応をうかがうリサがなんともかわいらしかったです」(佐々木さん)

 かつては、量産を容認する姿勢から、スウェーデンの権威的な機関やピュアアートの世界からは認めてもらえず、ジレンマを抱えていたというリサ。その一方で、ユニークピース(一点もの)も多く制作し、さまざまな作品を通じて広く知られる存在になっていった。

「リサはすべての陶器の原型を自分の手でつくり、職人たちに事細かな指示を出しながら型を完成させていきました。型を使う以外は1つ1つ手仕事で仕上げられていて、それが量産といえどもオリジナリティにあふれた作品を生み、日本でも多くの人に愛されたのでしょう」(勝木さん)

 2022年には、91歳になっても意欲的に創作を続けるリサのもとに吉報が届く。それは、スウェーデンの芸術文化への貢献により、政府から勲章を授与されるという名誉なものだった。「私がつくっているのは無用なもの」とこぼすこともあったが、リサの尽きることのない想像力と制作意欲により、自らジレンマを吹き飛ばしてみせた。

【連載をはじめから読む】すべては一通の手紙から始まった——北欧を代表する陶芸家リサ・ラーソンが日本で愛された17年

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連載の第4回は、今まであまり知られてこなかったリサ・ラーソンの素顔について。近日公開予定です。

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2024.11.30(土)
文=田辺千菊(Choki!)
撮影=深野未季、平松市聖(3ページ目2枚目)
提供写真=トンカチ