10月14日より、カンテレ・フジテレビ系で放送がスタートする新・月10ドラマ『モンスター』は、常識をを持たず感情を排除して相手と向き合う変わり者の新人弁護士が、現代にはびこる問題をすくい上げるリーガルエンタテインメント。主演の神波亮子役は、昨年のNHK連続テレビ小説『ブギウギ』でヒロインをつとめた趣里さんが演じます。手段を選ばず、縦横無尽に真実に向かって突き進む個性的なキャラクターとどう対峙していくのか。趣里さんに話を伺いました。


人間の本質に法律を通して触れる

――本作では弁護士役を演じます。脚本を読み、弁護士とはどんな職業だと思われましたか。

 白か黒かの答えを出すことも大きな使命ですけど、白とは言えない対象に対して自分の正義をどう律するのか葛藤する、難しい職業だと感じます。無罪を勝ち取ることは、弁護士としての実績にはなる。でも脚本を読んで向き合いたいと思ったのは、法律を通して触れられるかもしれない人間の本質です。答えは一つじゃないかもしれない。それが、主人公の神波亮子が大切にしていることなのかもしれません。

――神波亮子の役づくりをする上で、どのようなアプローチをされていますか。

 実は最初に台本を読んだときに、どうすれば神波亮子に近づけるのかまったく見当もつかなかったんです。何を考えているのか、どういう態度なのか、どんな表情で話しているのか……台詞からも読み取れないくらい難しい役だと思いました。けれど何度も台本を読むうちに、フラットでいればいいのかもしれないと思えるようになりました。私は亮子を動かしていくけれど、役として関わる人たちや環境や事件によって亮子は動かされていく存在でもあるのだからって。

――亮子は、型破り・変わり者と呼ばれながら、自分の直感と間合いで生きている女性です。そんな亮子に共感できる部分、ご自身と重なる部分はありますか。

 共感というより、亮子がうらやましいと思いながら第一話の脚本を読みました。監督とも話していたのですが、亮子は一見感情を持たず淡々と生きているような描写がされていますが、実は感情を誰よりも持ち、人の心を理解している。そして自分の感情も、あらゆる物事も俯瞰して見ている人。ふだんの私は感情に左右されすぎるので、亮子の冷静さや強さがうらやましい。もちろんそうじゃない部分もこれから描かれていくんだろうと思いつつ、今のところは正反対。だから逆に、演じるのが楽しみでもあります。

 思いがあれば行動に移すところは似ているかもしれませんが、私はビビりなので(笑)。とにかく石橋を叩きまくるので、亮子のような瞬発力がほしいです。

2024.10.01(火)
文=藤井そのこ
撮影=平松市聖
ヘアメイク=スズキミナコ
スタイリスト=中井綾子(crêpe)