鳥の鳴き声で目覚めるバリ島の朝。南国の光もまだ柔らかく、庭のテラスでのんびりと過ごせる貴重な時間。声のする小さな鳥の行方を観察していると、熱帯の赤や黄色や紫色をしたカラフルな花のあいだを行ったり来たりしているのがわかります。
雨の多い雨季(11月から3月)は旅行には適してないと考える人がいるかもしれません。しかし樹々の煌めくような緑色の輝きや、鮮やかな熱帯の花々、さらには食卓をにぎわす様々なトロピカル・フルーツの美味しさはなんといっても雨季の魅力です。乾季の熱帯は埃も多く、樹々も少し疲れたように見えることもあります。植物を観察するには雨季がうってつけなのです。
ブーゲンビリアにハイビスカス。耳にそっと飾るフランジパニの白くて可憐な花。水鉢にはロータス。バナナやパパイヤ。椰子の木にはココナッツの実。バリ島にいると自然と花や植物の写真を撮ることが多くなります。そしていつのまにか花を撮るためのレンズを1本用意するようになりました。朝の光を浴びた熱帯の植物や、夕暮れには池に散った蓮の花。島自体が植物園です。
小原孝博
1962年静岡県生まれ。日本大学芸術学部写真科卒業。出版社勤務を経て独立。バリ島では40回を超える撮影を行い、写真集『オラン・バリ』をダイヤモンド社より出版。バリ島や江の島などにて写真展も開催。6月10日より日本橋小伝馬町のiiaギャラリーにて写真展「光の音色」を開催予定。フォトワークショップは常時開催中。
Twitter @tak_KOHARA
2014.04.11(金)