〈「ゲームは1日1時間」に科学的根拠はナシ…子供をゲームに依存させないために親ができる“効果的な手段”とは?〉から続く
家庭用ゲーム機の誕生以降、子供とゲームのうまい付き合い方に頭を悩ませる親は後を絶たない。
はたして、子供にどれだけ、どのようにゲームを楽しんでもらうのが適当なのだろうか。ここでは、ゲームライターとして生計を立てる筆者が考える、ゲームに熱中する子供と親の対応に関する“問題の本質”を紹介する。
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対戦ゲームで子供が豹変するのは、実は普遍的なこと
『スプラトゥーン』シリーズのような対戦ゲームを遊んでいると、負けたことに腹を立てて子供が乱暴な物言いをすることがある。「まるで子供が別人になったかのよう」と思う親もいるそうで、これも問題のひとつといえよう。
確かに見ていてよい気持ちになるようなものではないのだが、実はこれは「ゲームだから」だとか「子供だから」という話ではない。大人にも通じる話だし、ほかのスポーツにも関連する人間の普遍的行為といえる。
たとえばテニスでは負けた選手がラケットを折ることはしばしばあり、大相撲でも横綱が判定に疑問を持って渋い顔をすることもある。なぜその人たちは怒りをあらわにするのか? それは真剣勝負の結果が喜ばしくないものであった場合、人間には多大なストレスがかかるからだ。
いわば、「負けて悔しい」「うまくできなかった」という認めたくない事実が暴言や悪い態度として表面化しているのだ。チーム対戦ゲームはよりこの傾向が強く、MOBAと呼ばれるジャンルは特に仲間にいらつきやすい。
ただ、「何かに失敗・敗北してストレスが溜まる」というのは普遍的なものである。スポーツはもちろん、仕事でも同様のことが起こりうる。だからこそ、失敗した部下にむちゃくちゃな叱咤をするパワハラ上司や、車を運転すると豹変する人がいるのだろうし、「アンガーマネジメント」なんて概念があるのだろう。
2024.09.15(日)
文=渡邉 卓也