この記事の連載
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ひとりじゃない、ということを強く感じた
――『ワタシタチはモノガタリ』の富子(江口のりこ)と徳人(松尾諭)は中学の同級生で、「30歳になってどっちも独身だったら結婚しよう」という約束とも言えない冗談を文通のなかで交わしていたという設定。千葉さんも同じですね!?
相手は20代で早々に結婚しましたけど(笑)。でも、別に好きだったわけではないんですよね、家族愛みたいな感じで。
――千葉さんが監督された短編映画『あんた』(出演:伊藤沙莉、千葉雄大)の主人公ふたりのような関係?
『あんた』のふたりは「結婚しよう」にはならないかもしれないですね。晩年、「恋愛はもういいや」となって、お互いひとりで誰かそばにいてほしいとなったら、言うかもしれないですけど。
『ワタシタチはモノガタリ』は、いろんな捉え方ができる脚本だなと思いました。個人的には「ひとりじゃない」というのを強く感じた気がします。
千葉さんは創作のとき「フィクション」をどう捉えている?
――富子は小説家志望で、徳人との文通をもとに小説を発表、そこで一悶着あります。千葉さんは映画の脚本を書かれますから、書き手の気持ちや「フィクションか事実か」みたいなポイントに思うところがあったのではないでしょうか。
そうですね。俳優がものを書くと、「普段からこういうことを考えているんだ」とか「こんな事実があったのかな?」と憶測されやすいですよね。ただ、そこを恐れていると何も書けなくなってしまいます。僕はセリフ一文字でも変えたら、それはフィクションと捉えているので、事実かどうかはグレーでいいのかなと思います。
僕は現実をソースにするときは、「(映画に)使いたいんだけどいい?」と確認します。『ハルモニア』という短編映画で、「うちの旦那が酔っ払って帰ってきて、寝てる私にラップバトルを仕掛けてきてさ」というセリフを書きましたが、あれは友達の実体験なんです(笑)。オモロ! と思って使いました。面白くないですか? ラップバトル、仕掛けられたことあります?
2024.09.07(土)
文=黒瀬朋子
撮影=榎本麻美
スタイリスト=寒河江健(Emina)
ヘアメイク=堤紗也香