「子供が熱中してほかのことを忘れるかどうか」

 だが、それはあくまで私の場合であって、そうでない特性を持つ人もいる。児童精神科医である吉川徹の著作『ゲーム・ネットの世界から離れられない子どもたち』によると、発達障害の子供はゲームやネットに没頭しやすい傾向があるという。

「子供が熱中してほかのことを忘れるかどうか」が重要なのだ。遊んでいるゲームがそうさせるものなのか、そして子供が熱中しすぎてしまうタイプなのかを確認し、必要に応じてスクリーンタイムなどでうまく制限を加える必要があるだろう。

 また、なぜ子供がゲームにばかり熱中するかも確認しておきたい。ただ楽しいからゲームをやめられないのか? それならばゲームを取り上げるのもひとつの手かもしれないが、学校に行きたくないだとか、現実から逃げたいがためにゲームに没頭しているのであれば、ゲームを取り上げたところで問題を棚上げにするだけだろう。

 

「ゲームは1日1時間」は根拠なし

 もちろん、ここまでいかずとも「子供がゲームばかりで宿題をしなくて困る」というレベルの話もありえるだろう。これに関しては、親が子供の遊んでいるゲームに興味を持つことが重要となる。

 甥が小学生だったころの話をしよう。彼は『ポケットモンスター X・Y』を遊んでおり、母親に「そろそろゲームをやめなさい」と言われた。しかし、「まだセーブできないから!」と言い返して、ゲームを続行していたのである。

 だが、「ポケットモンスター」シリーズは多くの場面でセーブができるゲームである。実際、彼のセーブできないという言い訳は嘘であった。ただ、私はその様子を見てもう少し待つことにした。

 切羽詰まるような状況でなかったのも一因だったが、何より甥の遊ぶゲームがひとつの佳境に差し掛かっていたのが大きい。少しするとその盛り上がるシーンを抜けたので、「じゃあ、そろそろやめようか」と声をかけると、彼は素直にやめることができた。

2024.09.03(火)
文=渡邉卓也