すべてを放棄してゲームを遊ぶのであれば、1日10時間以上はゲームに費やせるかもしれない。1週間で70時間、1ヶ月で約2100時間、1年で2万5200時間となる。しかしいくらゲームが好きでも人間には「飽きる能力」があるわけで、ここまでプレイするのは容易ではない。

 買い切りゲームの場合、ここまで遊べることは滅多にないだろう。確かにいろいろなゲームが出ているものの、そのすべてが趣味・嗜好に合うとも限らない(むしろ全体を見れば好みに合うほうが少ない)し、一本のゲームは長くとも数10時間に収まることが多い。やりこみでプレイ時間を伸ばしたり、あるいはアップデートされることはあれど、ひとつをずっと遊ぶゲームがリリースされることは商売上の観点からも難しい。

注意するべきゲームジャンル

 注意するべきはMMORPGのような一部のオンラインゲーム、あるいはサービス提供型ゲーム(もしくはライブサービスゲーム、基本プレイ無料の形態をとることが多い)であろう。これらのゲームはプレイヤーをより長く拘束し、長期間遊べるような仕組みが用意されている。

 ゲーム障害という言葉が存在する前から“ネトゲ廃人”という言葉があり、これはまさしく仕事や生活を投げ打ってでも没頭する人のことを指していた。

 よいアイテムを落とすボスを独占するために深夜にプレイする、トイレに行く時間も惜しいのでペットボトルに用を足す、1日20時間以上プレイできる仲間を募集するなど、ひどい話は探せばいくらでも出てくる。また、オンラインゆえのコミュニケーションがデメリットにも繋がりうることもある。

 

 ゲームに飽きたとしても仲間と喋るためにログインする、ほかのプレイヤーに負けないために長時間プレイするといった事態につながりやすいのである。MMORPG以外でもギルド同士で戦うようなゲームは同様のことが起こりうるだろう。

 とはいえ、この手のゲームが必ず廃人を生むとも限らない。筆者も遊んだことはあるし、熱中したこともある(とはいえさすがにトイレで用を済ませていたが)。それでも、1ヶ月もすればプレイヤーを縛り付ける仕組みに嫌気がさしてしまった。何より作品によっては、意図的にそこまで熱中させないような仕組みを用意しているケースもある。結局のところ、プレイヤーおよびプレイするゲーム選び次第である。

2024.09.03(火)
文=渡邉卓也