イスタンブルから約1時間のフライトで、エーゲ海エリア観光拠点のイズミルへ
イズミルのアドナン・メンデレス空港から車で約1時間、オリーブ畑とブドウ畑に囲まれたレストラン「Od Urla(オドゥ ウルラ)」に到着。2023年にミシュラン1ツ星を獲得し、同時にグリーンスター認証も受けた。
レストラン「オドゥ ウルラ」のあるウルラは、ギリシャに近いエーゲ海に面した温暖な港町。ブルーフラッグ(国際NGO FEEが実施するビーチ、マリーナ、観光船舶を対象とした国際環境認証)の認証を受けたビーチや漁港などがあり、イズミルの中心街から日帰りでも訪ねられるのんびりとしたエリアです。
イズミルがスミルナと呼ばれていた紀元前4000年ごろに利用されていたオリーブオイル製造所跡などがこのウルラで発掘され、トルコにおけるオリーブオイルの発祥の地ともいわれています。
ゲストも自由に散策できる「オドゥ ウルラ」の敷地はエディブルガーデン。オリーブオイルに使うオリーブを育てて絞り、ほかにもハーブや野菜、フルーツなどを育てて料理に利用。
早摘みの収穫を待つオリーブの実。グリーンの状態はフレッシュさとほのかな渋みが特徴。
レストランでは国内アジアエリアで育ったオリーブ由来の、16種類のオリーブオイルを使用。香りも濃度もさまざまで、料理に合わせて提供している。手前中央は「オドゥ ウルラ」のオリーブ畑で収穫されたEx.バージンのノンフィルター製法タイプ。
敷地の一画にあるワインセラーには、国内・東アナトリアのオレンジワインやナチュールワインを中心に14カ国のワインが揃う。97%は赤ワイン。
オスマン・セゼネルシェフが率いる地元に根ざしたレストラン「オドゥ ウルラ」。40年以上前から家族経営のレストランでシェフとして活躍してきましが、2020年にこの地に「オドゥ ウルラ」をオープンさせて以来、シェフやスタッフ自ら野菜やフルーツのほか牛や羊などを育て、食材の半分は近隣の生産者から仕入れる形で運営しています。
地元の生産者とともに地産地消・廃棄物を限りなくゼロに近づけるなどサステナブルな活動に取り組みつつ、この循環型ビジネスモデルの一環として常に30~40人の若い料理人をキッチンに招き、レストランを学びの場としても提供。
オープンキッチンで多くの若いシェフも卵が学ぶ姿も見られる。
店名の「オドゥ」はトルコ語で「火」を表し、炭火料理を主軸に料理が組み立てられています。メニューはコース「THE JOURNEY OF THE CHEF(12品で3,900TL)」とアラカルトがありますが、いずれも近隣の生産者からその日に一番良い素材を仕入れて調理。エーゲ海で育つ新鮮なエビやハタなどを取り入れたコース料理の中から、一部をご紹介! ワインのペアリング(6種3,500TL)も一緒に楽しめば、より深くエーゲ海トルコのフード体験が叶います。
「オドゥ ウルラ」農園の早摘みオリーブオイル、 フロマージュブランとハーブのソース、ホームメイドのサワードゥブレッド。少し酸味のあるカリッモチッとしたパンがたまらなく美味。最初に提供されるので、食べ過ぎに注意。
ウラウズベク地区産ブルーテールエビグリルの柑橘ソース。エビの甘みにうっとり。マンダリン、オレンジ、レモンの3種の柑橘類とオリーブオイルを合わせたソースが爽やか。
エビのグリルに合わせるのは「ナリンジェ」と呼ばれるトルコ固有品種の白ワイン。グレープフルーツやオレンジなどを思わせるフレッシュな柑橘系の香りと味わいが見事にマッチする。
ズッキーニのハタ詰め揚げ物。ズッキーニの花の中に白身魚を詰めてフライし、軽めのバターソースを添えて供される。
デザートはフィリク麦のケシケッキ(薄いクッキー)、タンジェリン(赤みの濃いオレンジ)、ストロベリー、ヨーグルト、バジルソース。デザートにまでオリーブオイルが使われる。
メインホールにはオープンキッチンのシェフズテーブルが25席、60のテーブル席のほかにテラス席もある。
オリーブオイルについて熱弁をふるうスタッフ。オリーブ畑に点在するテラス席で開放感たっぷりに味わうのもおすすめ。
ゲストハウスも併設。簡単なキッチンもついたベッドルームにプールも備わっている。ワインとともにこの地独自の料理を味わい、宿泊もできるのは嬉しい限り。
ミシュランレストラン「オドゥ ウルラ」近くのアラチャトゥ・ストリートでトルココーヒーを
フォトジェニックな通り「アラチャトゥ・ストリート」。
「オドゥ ウルラ」から車で約10分の場所にある、色とりどりの植栽も愛らしい通り「アラチャトゥ・ストリート」。石畳の通りにはカフェやレストラン、オリーブの木を使った雑貨店やアンティークショップ、食材店などが軒を連ね、多くの観光客で賑わいます。
オープンテラスのカフェでまったりひと休み。
トルココーヒーは豆の種類ではなく、トルコ独自の淹れ方のこと。極細かく挽いた深煎りのコーヒー粉を煮出してカップに注ぎ、粉がカップの底に沈むのを待って上澄みを飲みますが、こちらのカフェでは、炭火で熱した砂の中に銅製容器を沈めて加熱したトルココーヒーが味わえます。
店頭に備えられた熱源で調理されるトルココーヒー。店主のプレゼンテーションを見るのも楽しい。
砂糖は熱する前にコーヒー粉に加えられる場合も多いが、こちらのカフェでは砂糖は好みで後入れするスタイル。
地元の人も多く集う老舗のカフェ「Gazozcucu(ガゾウズク)」。さまざまなフレーバーの炭酸飲料も人気。店内の雑貨や飲料のディスプレイもお見逃しなく。
通りには青果店や精肉店、ベーカリーなどのほか、食材を扱うショップも。
2024.09.14(土)
文=CREA編集部
写真=橋本 篤