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 トルコのエーゲ海に面するイズミルは国内第3の都市。エーゲ海地方観光の拠点となる街です。トルコ国内ではもちろん、欧州のリゾート地として古くから愛されてきたエーゲ海エリアは、グルメもクルージングも遺跡などの世界遺産もまだ知らなかった魅力でいっぱい。


ライトアップされた世界遺産が夜の静寂に浮かび上がる

 トルコのエーゲ海地方、中央あたりに位置する古代都市、エフェソス。ヘレニズム文明と古代ローマ文明で培われた高度な都市機能、建築、宗教施設の遺跡が保存状態も良く現存し、2015年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。

 ローマ帝国時代にはアントニウスとクレオパトラも滞在し、貿易の要衝であったこのエリアは、文化的・商業的に栄華を誇った古代都市の名残が数多く遺されています。

 その歴史は紀元前6000年の新石器時代にはじまりますが、発見から120年以上経ついまでも発掘が続けられ、まだ全容は解明されていないそうです。広大な遺跡を歩く前に、まずは映像とサウンドで構成されたエクスペリエンス・ミュージアムで歴史のおさらいを。

 高度なコンテンツはまるで映画の中にいるような没入感を味わえます。迫りくる3Dの人物や街並み、建造物、自然現象に圧倒されながらも、遺跡の見どころがわかる仕掛けになっています。

Ephesus Experience Museums
エフェス・エクスペリエンス・ミュージアム

https://www.demmuseums.com/museums/ephesus-experience-museum/

 古代都市遺跡・エフェソスは保存状態も良く見どころが多いので、遺跡好きなら1日かけても足りないほどですが、一般的には半日の見学で満足できそう。夏場の日中はかなり気温が上がり木陰も少ないため、朝からの見学がおすすめです。

 さらにおすすめは夜。広大な敷地に点在する遺跡がライトアップされ、夏の夜なら涼しい環境でネイチャーテーマパークさながらダイナミックで幻想的な経験が叶います。

 最も有名なアルテミスの神殿(紀元前625年の完成以来、9度の破壊と再建があり、現在は復元された円柱が1本残るのみ)、円形劇場、図書館などの遺跡を大理石が敷き詰められた道を歩きながら仰ぎ見て、往時に想いを馳せてみてはいかがでしょう。

Efes Antik Şehri
エフェソス・アンティーク・シェヒリ

所在地 Atatürk, Efes Harabeleri, 35920 Selçuk/İzmir, Türkiye

邪気を払う守り神、メドゥーサの首も遺る荘厳なアポロン神殿

 イズミルのアドナン・メンデレス空港から車で約2時間のディディムというエリアにあるアポロン神殿。現在見学できるのは紀元前4世紀後半にアレクサンダー大王の援助を受けて再建された姿ですが、15世紀の大地震により、神殿のほとんどは崩れてしまいました。

 アポロン神に捧げられた巨大な神殿は古代ギリシャ人にとって神聖な場所で、ここに住んでいた神官たちは神殿に捧げられた宝物に埋もれて優雅な暮らしを送っていたそうです。

 ローマ劇場、競技場、アルテミス神殿の基礎、ローマ浴場などが発掘されましたが、見どころは神殿の柱廊やそこかしこに置かれている巨大なレリーフの数々。大理石の彫刻が見事です。

Apollon Tapınağı
アポロン・タプナウ

所在地 Hisar Özgürlük Caddesi Özgürlük Cad, 09270 Didim/Aydın, Türkiye

2024.09.14(土)
文=CREA編集部
写真=橋本 篤