――恋愛は自分の努力だけでうまくいくものではないので、実は「好きな人に好かれる」のって、すごく難しい部分もありますよね。
山本 そうですね。恋愛って、自分が頑張ったからといって必ずしも報われるわけではないですし、幸せになれるわけでもないと私は思っているので、私のマンガでは 「頑張ったから必ず幸せになる」というエピソードが少ないです。でも、悲しく終わらないエンドに寄せていくようには心がけています。
「破滅エンド」がしっくりくる
――「悲しく終わらないエンド」というのは、ハッピーエンドとはまた違うのですか?
山本 何をもって「ハッピーエンド」とするかというところもあるので、そこは一概には言えないです。それに、マンガでハッピーエンドにすることは簡単ですけど、実際の人生では死ぬまでハッピーエンドかどうかというのはわからないじゃないですか。死ぬ直前に大どんでん返しがあるかもしれないし。
なので、私としては「破滅エンド」の方が現実らしいというか、しっくりきて、ついそちらに寄せてしまうので、そうならないように気をつけています。多分「破滅エンド」が好きなんでしょうね(笑)。
――いわゆる「ハッピーエンド」よりも、「破滅エンド」の方が好きというのは、恋愛で嫌な思いをされてきたことが影響していますか?
山本 単純に、自分が「破滅エンド」が好きなんだと思います。王道系の恋愛モノを普段ほとんど観ないので、「正統派のラブロマンスを描いて」と言われても描けないと思います。アクション映画など、刺激の強い内容を好んで見ています。もしかしたら、こういうところが自分の作風に影響しているかもしれません。
出し抜かれる恋愛
――作中に「クズ男」がたくさん登場しますが、これも「刺激」の一種なのでしょうか。
山本 クズ男、そんなにいますか!? 誰のことだろう、「ダメ恋女 理恵編」に出てくる「あやと」かな……(笑)。正直、私自身はあやとをそんなにクズ男とは思って描いていませんでした。恋愛は自由競争という一面もありますので……。まあこれは、私自身がこれまでずっと出し抜かれ続けてきたからそう思ってしまうのかもしれませんが……。
2024.08.15(木)
文=相澤洋美