本格的なロシアのおやつを楽しめるカフェが誕生
神戸・北野にあったロシア料理レストラン「バラライカ」が、昨年3月、ひっそりと閉店しました。1951年(昭和26年)の創業で、三宮駅北のビルにあった頃、母とよく出かけた思い出の店でもあります。阪神淡路大震災後も移転して営業を続けていたのですが、閉店してしまい、人気メニューだったボルシ(ボルシチ)とピロシキの気軽なセットや「タンシチューつぼ焼き」などが、もう食べられないと思うと、とても残念、と思っていたら、なんと、新たにロシアカフェができているとの噂。さっそく出かけました。
場所は、各線三宮駅から北東へ徒歩約10分。住宅街の一軒家の外壁に「M」の大きな文字。店名はロシア語で読めませんが(笑)、2024年5月にオープンした「ロシアカフェ神戸ミーシカ」です。
店内は、赤や黒、グリーン、ピンクの独特の色使い。シャンデリアがきらめき、ミーシカ(子熊)やマトリョーシカなどロシアの小物があちこちに飾られていて、明るく楽しい雰囲気。カウンターの中で、店主・古池麻衣子さんが笑顔で迎えてくれます。
目をひくのが、カウンターに置かれたピロシキ。
「今日のピロシキは、卵とネギ、ひき肉と玉ネギの2種類です」と古池さん。毎日、ひき肉とマッシュポテト、キャベツ、ズッキーニなど、色々な具で作るのだそう。時間をかけて発酵させたパン生地で1個1個ていねいに包み、油で揚げずにオーブンで焼き上げた「焼きピロシキ」です。
手でつまんで、パクリ。まさにロシアのおやつです。生地は、サクッ、モチッとした歯応えで、とても食べやすい。食感が軽いので、いくつでも食べられそうです。
「卵とネギ」は、ふんわりまろやかな茹で卵の風味が広がる優しい味。
「ひき肉と玉ネギ」は、ピリリと胡椒がきいていますが、こちらも優しい味わい。
ロシアで人気のソーセージ入り「サシースカ」には、オリジナルドリンク「赤の広場」を合わせてみました。
「赤の広場」は、凍らせたビーツとホエイ(乳清)をソーダで割ったもの。ビーツの赤がキレイです。よく混ぜて、凍ったビーツとホエイが溶けて変化する味を楽しむのも一興。ソーセージロール「サシースカ」も手で持ってパクリ。ムシャムシャ食べる気軽なおやつです。
「他にも珍しい色々なお菓子を作ります。今日は、私が大好きなヴァトルーシュカも焼きました」と古池さん。
カッテージチーズを使った「ヴァトルーシュカ」は、ロシア定番の焼き菓子。古池さんはカッテージチーズを牛乳から手作りし、食べやすいよう小さなサイズにしていると言います。誰もが好きなほんのり優しい甘さ。生地はピロシキと同じで、サックリ、モッチリ。
一緒に、ヤナギランの葉と花のハーブティー「イワンチャイ」を注文。ビタミン、ミネラルが豊富でノンカフェイン。ロシアではポピュラーなお茶なのだとか。古池さんがロシアから持ち帰ったというグジェリ焼きのティーカップ&ソーサーで供されます。ひとつひとつ異なる形の丸みを帯びた独特のデザインで、厚みがあり、藍色で描かれた手描きの柄も美しい。ヨーロッパの有名ブランドのような逸品でお茶を飲むと、ロシアの貴族になったかのよう。珍しいスイーツがあったり、貴重なロシアのお茶を注文できたり……。旅先のカフェで一休みしている気分になれます。
2024.08.11(日)
文・撮影=そおだよおこ