ロシア人も歓喜する本格ボルシチ

 ぜひ味わいたいのが、古池さんお手製の「ボルシチ」と「手包みペリメニ」。

 ボルシチは、ロシア人の客が「おばあちゃんの味」「家庭の味」と大喜びする一品。「生のビーツをたっぷり使って、ビーフではなくチキンで作っています。ロシアの友人宅で振舞ってもらったような素朴な味を一工夫してレストラン風に仕上げています。これまで日本で親しまれてきたボルシチとは、ちょっと違っているかも」と古池さん。サワークリームも、日本で手に入るものをブレンドして、現地に近い味にしているのだそう。

 「手包みペリメニ」は、モチモチの皮を手作り。ジューシーなフィリングとバターのコクがたまらない、クセになる味わいです。色々な具、様々な色のペリメニがあるそうで、それらが登場することがあるかもしれません。

 「ロシアではハーブのディルを多用します。ボルシチにもペリメニにもたっぷり使いたいんですが、日本では高価だし、通年で手に入れるのが難しくて」。本場の味にこだわる古池さんなのです。

 古池さんは、ヨーロッパ文化の研究をしていて、イタリアやヴァチカンによく出かけていました。その途中、5日間だけ立ち寄ったモスクワが好印象で、何度も訪れることになったのだそう。

 「モスクワを拠点に地方にもあちこち出かけて、友達もできて、どんどん好きになって」。日本でロシア領事館主催のイベントに関わったりもしたと言います。もともとお料理が得意だったので、ロシアで食べた味を再現して友人に振る舞うと、大好評。「カフェをやったら?」と勧められ、昨年からシェアキッチンで色々作ってトライアル。「ロシアの最新の音楽を流してお店をしたら楽しくて」。物件を見つけ、できるところはDIYで壁に絵や文字を描いたりと工夫して、とうとう自分のお店を始めてしまいました。

 古池さんは、ロシアを好きになってもらうため、色々なイベントを企画しています。イギリスより先に紅茶文化が発展していたロシアの紅茶文化を知ってほしいと、お店に飾っている給茶器・サモワールを使ったお茶会を開催しました。もちろん、お菓子付き。

 ロシアのカップ&ソーサーで紅茶や緑茶を出し、ロシア風のお菓子も手作り。サモワールに触れたり、蜂蜜を口に入れて紅茶を飲んだり、ロシアの街を訪れた時の話を聞きながらの、楽しいお茶会。今後も企画するそうです。

「私は、ロシアが大好き。ロシアの話ができる、ロシア好きが集える場所がほしかった。関西在住のロシア人の方もたくさん来店してくださいます。私が感じたのと同じように、ロシアを、おいしい、かわいいと思ってもらえる和やかなカフェでありたい」

 おいしい、かわいい、ロシアの家庭の味が楽しめるカフェが、神戸に根付きますように。

ロシアカフェ神戸ミーシカ

所在地 兵庫県神戸市中央区琴ノ緒町1-8-9
電話番号 078-380-5381
営業時間 11:30~19:00(18:00L.O.)
定休日 火・水曜
Instagram @russiancafe.kobe.mishka

Column

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2024.08.11(日)
文・撮影=そおだよおこ