アメリカ先住民の、各月の満月の呼び名

モロッコの砂漠で見た、のぼったばかりの満月。

 日本以外にも月の形に名前をつける風習はありますが、アメリカ先住民は、各月の満月に様々な名前をつけていました。その多彩なネーミングに、彼らの想像力の豊かさが表れています。その一部を紹介してみましょう。

1月 Wolfmoon(狼月)、Icemoon(氷月)、Playmoon(遊び月)
2月 Snowmoon
(雪月)、Blackbearmoon(クロクマ月)、Eldermoon(長老月)
3月 Crowmoon
(カラス月)、Bigcloudmoon(大雲月)、Earthcracksmoon(地割れ月)

 季節柄、氷月や雪月は納得ですが、なぜ3月の満月が地割れ月なのでしょう。春先の満月の日に地殻変動が起こる、と彼らの間で信じられていたのでしょうか。

4月 Seedmoon(種月)、Bigwindmoon(大風月)、Pinkmoon(桃色月)
5月 Milkmoon
(乳白月)、Haremoon(野ウサギ月)、Flowermoon(花月)
6月 Honeymoon
(蜜月)、Rosemoon(バラ月)、Strawberrymoon(苺月)

 4月には植物の種まきが行われ、風薫る5月には花が咲き乱れる。6月といえば、新婚旅行の代名詞ともなったハネムーン=蜜月が有名。

7月 Thundermoon(雷月)、Meadowmoon(草原月)、Corntasselmoon(トウモロコシの房月)
8月 Cornmoon
(トウモロコシ月)、Woodcuttermoon(樵月)、Redmoon(紅月)
9月 Harvestmoon
(収穫月)、Fruitmoon(果実月)、Spiderweb on the ground at dawnmoon(夜明けの地上の蜘蛛の巣月)

 夏の夜空に轟く雷、灼熱の8月の夕暮れどきに、東の空を紅く染める満月。それにしても、夜明けの地上の蜘蛛の巣月っていったい?

10月 Huntersmoon(狩猟月)、Bloodmoon(血月)、Basketmoon(籠月)
11月 Beavermoon
(ビーバー月)、Initiatemoon(秘儀伝授月)、Nonamemoon(名無し月)
12月 Longnightmoon
(長夜月)、Oakmoon(樫月)、Bigfreezingmoon(大寒月)

 ジビエが美味しい季節の満月は、狩猟月。11月の満月は、その部族に伝わる秘儀を授けられる日だったのでしょうか。冬至近くの満月の夜は、1年で最も長いので長夜月なのでしょう。

 あなたは1年の中で、どの満月が一番好きですか? アメリカ先住民にならい、もっとぴったりくるオリジナルの名前をつけてみるのも一興です。

 2014年の3月は、新月から始まります。ひな祭りの頃には夕暮れの西の空に三日月が浮かびます。日々、満ちてゆく月を眺めながら、“月に名前をつける遊び”をしてみませんか。

岡本翔子 (おかもと しょうこ)
占星術家。ロンドンにある英国占星術協会で心理学をベースにした占星術を学ぶ。CREAでは創刊号から星占いを担当。月に関する著作・翻訳も多く、月の満ち欠けを記した手帳『MOON BOOK』(アスペクト刊)は、10年続く静かなロングセラーに。CREA WEBでは「岡本翔子のほぼ日めくりMoon Calendar」も好評連載中。
公式サイト okamotoshoko.com
公式ブログ ameblo.jp/okamotoshoko
★毎年好評の月の満ち欠けを記した手帳、『MOON BOOK 2014』が好評発売中。

Column

岡本翔子の「月」にまつわる暮らしの手帖

「岡本翔子の日めくりMoon Calendar」を連載中の岡本翔子さん。このコラムでは毎月1日に、「月」を身近に感じながら、季節の移ろいをこまやかに感じ取り、日々の暮らしを豊かに営むためのヒントをご紹介します。

2014.03.01(土)
文・撮影=岡本翔子
写真=プレ天文