―― とはいえ実際のところ、家の前の坂道を下りることも今はちょっと難しくなっていますけど、哲代さんはいつも私たちに、「100点のラインを自分から下げる」って教えてくれますよね。畑で大根を抜いたり、タッタッタ(シニアカー)を乗り回してたりしていたときが100点で、そのときから見たら50点になってしまったけど、100点のラインを下げて、今がまた100点だと思えばいいと。できたことを一生懸命喜んで、「 できた、できた」「上等、上等」っていつも口癖のようにおっしゃっていますよね。
哲代 そう言うてくれると、非常にきれいに聞こえますが。
―― ご自身のことを褒めるのがすごく上手ですよね。 よく「自分で自分の機嫌を取る」っておっしゃるんですけど、前は自分を叱ったりもしてましたけどね。最近、結構甘い……。
哲代 自分でも思いよるんです、ちょっと点が甘いって(笑)。もうちょっとちゃんとしなさいと思うんですが、できませんね。
―― 私たちもこういうふうに考えればいいんだなって、すごい参考になってますよ。
哲代 そうですか。そう言ってくれたら嬉しいです。
―― この間、「3年日記」をまた買ってましたよね。
哲代 まだ生きるつもり(笑)。104歳、105歳、106歳。紙がもったいないから全部埋めんといけんてね。いよいよ化けもんじゃね。まあまあ、これこれ、我ながらびっくらです。
―― 施設に入っておられるとき、ちゃんと日記つけてましたか?
哲代 空白かも。一人暮らし再開したから、また書きます。
―― 皆さんの前でお約束を。
哲代 ちっくしそれは無理でございます(笑)。なーんちゃって。えへへ。まあ、元気出しましょう。エイエイオー!
弱気の虫を退治する方法
―― 私たちが取材させてもらう中で、哲代さんからいろんな名言が飛び出すんですけど。
哲代 そうですか? 米にしんにょうのほうの「迷言」ではないですか?
―― 名前の「名」のほう。
2024.04.30(火)