〈103歳、一人暮らし。石井哲代さんが語る「らくに老いる」コツ「体は思うように動かんけれど…」〉から続く
広島県尾道市の山あいの町で、畑仕事をしながら一人暮らしを続ける石井哲代さん(103歳)。足の痛みで入院したり、できることが少なくなったりして気落ちする日もあるけれど、弱気の虫を退治して自分を励ましながら、明るく、機嫌よく生きることを心がけているといいます。
ここでは哲代さんがこれまでの人生経験から得た「自分の心に言い聞かせている言葉たち」をまとめた『103歳、名言だらけ。なーんちゃって』(文藝春秋)より一部を抜粋して紹介します。(全2回の2回目/最初から読む)
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勤め先の小学校の同僚だった石井良英さん(2003年に死去)と結婚したのは1946年のことです。夫婦ともに小学校の先生でした。20年前に良英さんは他界。哲代さんの枕元にはいつも、夫の写真が置いてあります。
「山あり谷ありでございました」
哲代さんは夫婦の時間を懐かしそうに振り返ります。
「わしが大将」という豪快な人
職場には真っ先に出勤して、よう仕事をする人でした。教師として尊敬しておりました。家に帰ったら農作業も一生懸命でね。愚痴なんか聞いたことはなかったです。
人としてもようモテとったじゃろうと思います。「わしが大将」という豪快な人でみんなと飲み歩いた後、うちにもよう連れてきちゃった。同僚の先生が10人以上来られたこともあるん。女の先生もおってケチャケチャおしゃべりしてね。こっちは台所に立ちっ放しでもてなして、片付けも全部するんですから。わたくしも女の先生だよって言いたくなりました(笑)。
感謝の言葉があったか? 何があろうに。あはは。哲代のおかげじゃとか言うようなことがあったら世の中がひっくり返るでしょうよ。亭主関白を地でいくような人でした。
それだけに夫のちょっとした気配りがうれしかったんです。
2024.04.08(月)
著者=石井哲代、中国新聞社