「ナウシカの続編は……」鈴木敏夫プロデューサーが明かした本音《ジブリの運命が決まった日》〉から続く

3月11日、第96回アカデミー賞において宮﨑駿監督「君たちはどう生きるか」が長編アニメーション賞を受賞。受賞直後、スタジオジブリの第1スタジオで、鈴木敏夫プロデューサーによる記者会見が開かれました。文藝春秋ウェビナー「鈴木敏夫はどう生きるか」にも出演してくださった鈴木さん。約60分に及んだ記者会見の模様をお伝えします。中にはファン騒然の爆弾発言も……。

◆◆◆

「日本男児として嬉しい顔は見せちゃいけない」

 鈴木 朝早くから皆さんご苦労さまです。なんか目が痛い(笑)。オスカー像ってね、あれ、1個もらえるじゃないですか。そしたら実は、何個も注文すれば、お金を出せば作ってくれるんですよね。さっき3個注文しました。どうもありがとうございました! 

 ——本日はおめでとうございます。この「勝因」をどう考えているかっていうことと、あとは宮﨑監督の反応は?

 鈴木 宮﨑はね、さっきまでちょっと喋ってたんですけれど、「日本男児として嬉しい顔は見せちゃいけない」って言いつつ、なんか(笑顔が)零れてたんですよね(笑)。本当に心の底から喜んでましたね。みんなも応援してくれてるし。それが1つ。それと、「勝因」って、言われてもね(笑)。選んでいただく基準があるんだろうから、そこらへんが僕らにはわからないんで、ただただアカデミー協会の会員の方に感謝するだけです、はい!

 ——米国でかなり評価が高かった。どのへんがアメリカ人の心をつかんだといったイメージというのは?

 鈴木 僕ねえ……実は、日本のお客さんよりもアメリカのほうが、実はすんなり受け入れやすかった、っていう気がしているんですよ。で、僕はそばにいましたから、彼(宮﨑監督)が何をやっているのかってなんとなくわかっていたんですけれど。ある種ね、聖書なんですよね、内容が。映画の公開中、あんまり言わないようにしてきたんですけれど、内容が聖書の最後のほう、つまり「黙示録」。「宮﨑駿の黙示録だ」って思ったんです。そりゃあねえ、映像を見ていくとわかるんですよ。それは、アメリカの人には受け入れやすかったんじゃないかな。そんなふうに思っています。

2024.04.12(金)
文=「文藝春秋」編集部