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 春の横浜中華街で食べたい“鍋料理”の後篇は、土鍋ご飯!

 日本でも土鍋炊きのご飯は人気ですが、実は中国にもバラエティ豊かな土鍋ご飯が充実しています。

 今回はローカルな中国料理も気軽に味わえる「横浜中華街」へ。中華街に精通する3人の賢者に、本場中国の神髄が味わえるとっておきの土鍋ご飯を教えてもらいました。1品で満足できる量と質だから、ランチやひとり中華したい時にもおすすめですよ!

【前篇】横浜中華街賢者が偏愛する鍋【4選】はこちら


#01 南粤美食の「腸詰め 干し肉 貝柱釜飯」

 香港名物の土鍋炊き込みご飯「煲仔飯(ボウジャイファン)」を、横浜中華街で流行らせたのはこちらの大人気店・南粤美食です。

「TVドラマ『孤独のグルメ』で紹介されて大ブレイクしたこの料理。その時からさらに進化しているとの噂を聞きつけ、久々に食べてみたところ、あまりの滋味深さに大興奮! 帆立、肉、すべての旨みを吸った米の半端ない旨さ。全国から食通が集まる南粤美食、その最強伝説は今も更新中です」(嶺月氏)

 進化の理由は食材にあり。もともと広東省出身のオーナーシェフが、日本人向けのアレンジを一切加えない、現地そのものの味を繰り出す料理にグルメなファンたちが殺到していたこのお店。そのスタンスは変えずに、“広東料理に合う”食材探しの旅に出て、肉、魚介、米などを吟味。さらなる料理のブラッシュアップに成功しているのです。

 「腸詰め 干し肉 貝柱釜飯」で進化したのは帆立の干し貝柱。北海道の最北端でとれる帆立は、サイズが大きく、米の甘みや旨みを引き立てる塩分の加減が劇的にいいというシェフが惚れ込んだ逸品です。

 毎朝、帆立貝柱を大量にもどし、そのもどし汁を、豚ガラ・鶏ガラ・海老殻からとった極上・上湯スープにプラス。まさに旨みのかたまり! といったスープで山形県産の米をふっくら炊き上げます。

 帆立だけに飽き足らず、1週間かけて天日干しし、肉の旨みを凝縮させた“自家製の腸詰”や“豚バラ肉の干し肉”も投入。甘めの腸詰、甘じょっぱい干し肉、そして最高級の帆立。すべてのおいしさが米に凝縮し、帆立の甘い余韻が口いっぱいに広がります。

 香港から飛行機で運んだという素焼きの土鍋で炊いたご飯は、ふたを開けた時のふんわり立ち上る香りが格別です。今回ご紹介した料理以外にも、中国人に大人気のスペアリブ&豆鼓の釜飯や、陳皮風味のハンバーグにとろりと生卵を合わせた釜飯など、5種類の土鍋ご飯が味わえます。全部制覇するまで通い詰めたい魅惑のラインアップ!

 行列必至の人気店ですが、お店の味を気軽にテイクアウトできるイベントに参加するとの情報が! 横浜タカシマヤの「LOVE YOKOHAMA」に、2024年3月27日(水)~4月9日(火)の日程で出店予定なのでぜひチェックしてくださいね。

南粤美食(ナンエツビショク)

所在地 神奈川県横浜市中区山下町165-2 inビル1F
電話番号 045-681-6228
営業時間 11:30~15:00(L.O.13:00) 17:00~21:00(L.O.19:00)
定休日 水曜(祝日の場合は営業、翌日休み)
●みなとみらい線元町中華街駅より徒歩2分
X(旧Twitter) @nanyuemeishi627

2024.03.27(水)
文=嶺月香里
写真=志水 隆