この記事の連載
牧野麻紀子さん[アニメイト書籍担当]
Q1:夜ふかしマンガ大賞に推薦する作品は?
●『home』中村明日美子/茜新社
前作『blanc』でめでたく結婚した草壁と佐条。『home』には、その後のふたりが同居するまでのエピソードを6編収録。
「同級生だったふたりが、近づいたり離れたりしながら心を重ね、やっとここまで来ました。ふたりの愛情を見守ってこられたことがうれしい、ふたりが一緒にいてくれることが尊い……。中村明日美子先生の紡ぐ世界は、ほかに例えようがない宝物です。夜、自分を取り戻す時間にぴったりな作品!」
●『夜明けの唄』ユノイチカ/シュークリーム
「BL、ファンタジーと聞き、躊躇する方もいるかもですが、圧倒的画力と壮大な世界観が持つ説得力の前では、ジャンルなんて関係ない! あっという間に作品世界にドボンできます。過酷な宿命を負った戦巫子と年下忠犬ワンコ青年とのじれったい恋の行方、いまならリアルタイム進行形で体験できます。ぜひぜひ!!」
●『気になってる人が男じゃなかった VOL.1』新井すみこ/KADOKAWA
「タイプの違うJK同士が、共通の趣味である渋めな洋楽を通じ距離を近めていく。女の子同士の友情よりもちょっぴり濃密な関係に、こんな青春送りたかったー! ときゅんきゅんします。著者のセンスの良さに、新しい時代を感じます」
Q2:人生で影響を受けたマンガは?
●『ガラスの仮面』美内すずえ/白泉社
大女優を目指し奮闘する北島マヤの成長を描く少女マンガの大作。
「初期から読んでいる方は、自分の人生とマヤの人生、ほぼ重なっているのではないでしょうか。ここまで来たら最後まで付き合うよ! という気持ちで完結を待ち望んでいます。子どもの頃に、マンガというエンターテインメントの面白さを教えられた、素晴らしき作品。だから先生、完結を待ってます!!!」
Q3:夜ふかしマンガの楽しみ方は?
「週末の夜、積んであるコミックスを10冊ほどイッキに読みます。没入するのでBGMもなし、ドリンクもなし。至福のときです」
Q4:いま、特に注目している作品は?
●『10DANCE』井上佐藤/講談社
「著者の絵力と表現力、ストーリーの面白さ、作品から広がるリアルなダンスイベントへの波及効果。洒脱で魅力的なキャラ設定は、井上佐藤先生ならでは。好きです」
Q5:いま、読み返したい名作は?
●『エロイカより愛をこめて』青池保子/秋田書店
「東西冷戦時代下を舞台に、美術品窃盗犯エロイカとNATOの将校エーベルバッハ少佐を中心に、世界の大物(笑)総動員で繰り広げられるスパイアクションコメディ。本当に面白い!! CIAやKGBという単語はこの作品で覚えた世代です。読み返すと新鮮な発見があるのではないかと思います」
Q6:とにかく泣きたい夜におすすめの作品は?
●『ブラック・ジャック』手塚治虫/秋田書店
「私の医療知識は『B・J』で止まってしまっております。でもそのくらいすべてにインパクトがあり、何度読んでも素晴らしいエピソードばかりなので。泣ける、というとソロバンのエピソードです。『なんという舌』は、思い出しただけで泣けます。ほかにも深く恒常的なテーマばかりなので、夜ふかしにぴったりだと思います」
Q7:期待の新人作家とその作品は?
●『モンスターアンドゴースト』ヒメミコ/ブライト出版
「画力で殴る! がキャッチコピーで8月にデビューコミックスが出たヒメミコ先生です。読んでいただければわかります。圧倒的絵ヂカラ。続きが読みたくてたまらなくなる展開。BLレーベルからの刊行ですが、アニメイトの男性スタッフも夢中になってる、注目の先生です」
Q8:深夜ひとりでひっそり読みたい作品は?
●『貼りまわれ! こいぬ』うかうか/秋田書店
「この手のショートコミックスで圧倒的に好きなのが、うかうか先生です。世界を支配するゆるさ、スローなテンポ、言葉のセンス。救われない感じ含め、すべてが愛しくてかわいい。ハッとした顔とかたまらないですね。こいぬがいてくれれば、多少なつらさは乗り越えられる気がします(笑)」
牧野麻紀子(まきの・まきこ)さん
アニメイト書籍担当
アニメイトの書籍販促(主にBL)を担当。「2023年3月にグランドオープンした池袋本店へぜひ足をお運びください!」
2024.01.28(日)
文=大嶋律子(Giraffe)