この記事の連載
- 綾野剛インタビュー #1
- 綾野剛インタビュー #2
俳優、制作陣に共通した思い
――マンガの世界そのままに、かみ合わないふたりがかみ合っているように見えるのが実写化で、かみ合わないことを追求した、山下監督の新挑戦が今回の映画化と考えればよいのでしょうか。いつもの綾野さんとは違った、「かみ合わない」演技にも注目ですね。
岡聡実役の齋藤潤くんは真っ白な状態で挑戦してくれましたが、僕らもこれまでの経験値を恐れず捨てて、芝居の「かみ合わなさ」をひたすら追求しました。本作は、その体感した事のない気まずい空気感がひたすら漂い続けます。不安に思う方がいらっしゃるかもしれませんが、その不安こそが聡実くんを知る上での大切なスパイスになります。毎度新たなスパイスが織り込まれ最後の最後で効いてくる。本作にしかない調合を楽しんでいただけたら幸いです。
――作品の見どころについても教えてください。
たおやかな、とても温かい青春映画です。当時、齋藤潤くんは役と同じ15歳で、撮影中に変声期が来て背も伸びて。そんな彼の魅力を描こうとみんなで想いを集結させた現場でした。ぜひ岡聡実と齋藤潤の成長を、この作品を通して見ていただけたら幸いです。きっと胸に響く作品になっていると思います。
綾野剛(あやの・ごう)
1982年1月26日生まれ。岐阜県出身。2003年、ドラマ『仮面ライダー555ファイズ』で俳優デビュー。12年公開の映画『横道世之介』で、『第37回日本アカデミー賞』新人俳優賞を受賞。そのほか多数の作品に出演。音楽や写真などといったカルチャーにも造詣が深い。
『カラオケ行こ!』
合唱部部長の岡聡実はヤクザの成田狂児に突然カラオケに誘われ、歌のレッスンを頼まれる。組のカラオケ大会で最下位になった者に待ち受ける“恐怖”を回避するため、何が何でも上達しなければならないというのだ。狂児の勝負曲はX JAPANの「紅」。聡実は、狂児に嫌々ながらも歌唱指導を行うことに。そんな二人がカラオケを通じて少しずつ打ち解けてきた頃、“ある事件”が起きてしまう。果たして二人の運命は!?
出演:綾野 剛 齋藤 潤
原作:和山やま(ビームコミックス/KADOKAWA刊)
監督:山下敦弘 脚本:野木亜紀子
衣装クレジット
コート 968,000円、シャツ 246,400円、パンツ 122,100円、シューズ参考商品/すべてヴェルサーチェ(ヴェルサーチェ ジャパン www.versace.jp) その他本人私物
2024.01.17(水)
文=相澤洋美
撮影=平松市聖
ヘアメイク=石邑麻由
スタイリング=三田真一(Kiki inc.)