そして健康や美容で敵視されやすい「おやつ」も、「食べない」と決めつけるのではなく、楽しく取り入れてほしいという願いを込め、新書化にあたり章立てをした。実際、心身に良い影響を与えるおやつだってあるのだ。
おひとりさまや、仕事に家事に忙しい人は、「レトルト&冷凍食品」の章を参照すれば、時短かつ食材を無駄にしにくいだろう。
さらに日常生活で身近な「飲み物(ドリンク)」と「油」の選び方も、老けないために欠かせない。シーンに合わせて選択することが重要だ。
ラストは、最新食事術ともいえる「食べる時間帯」である。いちいち食材を選ぶのは面倒という人は、「時間帯」だけでも意識すると健康や美容に貢献するだろう。こちらも今回新たに章立てをした。
さて本書は基本的に「健康維持」を主軸としたものではなく、「若さを取り戻す」ための、老けない食事法である。
見た目の若さは、内臓の健康を表すといわれる。だから「健康維持」でも「若さを取り戻す」でも食事の方向性は変わらないのだが、両者のスタンスは違うように私は感じてきた。健康維持というと何となく“守り”のイメージなのである。一方で、アンチエイジングには自ら食を選択し、明日の自分を築いていくという主体性を感じる。『週刊文春』で特集記事の執筆をしていた時期、主に70代、80代の方からたくさんのお便りをいただいた。お便りには「若くいられるために、これからは○○したい」と、前向きな言葉が記されていた。
いつまでもきれいでいたい、若さを取り戻したいという願いは、とても素敵なことだと思う。たとえ病気で寝たきりであっても「老けない」という目的で行動することは、人を笑顔にさせる。おそらくそれは「生きる希望」につながるのだ。
だからこそ本書では「これを食べるな」という言い方を極力せず、日常の食事で何を選択するのがベターなのか、あなたの選ぶ目が培われることを目的に執筆した。「老けない最強食」とは未来の自分のために主体的に食を選ぶことであり、またそれは今日の食事が楽しくなければ続いていかない。
明日も今日の自分を維持することを目標に、大切な人と、あるいは一人でも食事の時間が楽しめますように。そのためのガイドとして本書を活用してもらえたら、とてもうれしい。
「はじめに」より
老けない最強食 (文春新書 1429)
定価 1,375円(税込)
文藝春秋
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2023.12.14(木)