私たちは、製品の原価を‟知る権利“を持っている

物が溢れている時代だから、効き目はもちろんのこと、その背景にある物語も大切にしたい。化粧品選びにもそんな変化が生まれる昨今。そんな中、誕生したスキンケアの新ブランド「newscape」のユニークな取り組みをご紹介します。

まず話題になったのは、その外箱。ミルクローションの外箱には、内容物 591円(税込)、容器 540円(税込)、化粧箱 96円(税込)と外箱に記載されています。これは製品の製造原価。

なんとこのブランド、「お客様は、本来いくらでできている製品を購入しているのかを“知る権利”を持っている」という考えから、すべての製品の製造原価を公開しているのです!
しかも驚くべきは、原価率50%以上を実現していること! 広告費や容器代が上乗せされ原価率は10~20%が一般的、というスキンケアの世界で、これがいかに難しい挑戦だったかは、想像に難くありません。容器代の明記を許した、容器メーカーの心意気も見逃してはいけないところ。
まさに美容業界のタブーに切り込む、革新的なブランド「newscape」。生み出したのは、長年「コスメキッチン」などを率い、オーガニックコスメを日本の浸透させてきた小木充さんです。
CO2排出実質ゼロを本気で目指す!

オーガニックコスメの第一人者が手がけたとあって、製品はすべて世界的なナチュラル&オーガニック化粧品と同等以上の基準による天然由来成分100%処方。それにも関わらず、オーガニック認証を取得するための費用をプロダクトの上代に載せ、それをお客様から徴収するのは本望でないという想いから、あえて認証マークの取得にはこだわりません。
そうしてあらゆるコストを大幅に削減し、DtoCに特化することで、今秋に発売した新製品はいずれも原価率50%以上で、さらに2,000円台を下回るという、ドラコス級の価格感を実現! 「使い続けたくなるホンモノを、使い続けられる価格で届けたい」という想いを、これでもかと誠実に具現化したラインナップには胸を打たれます。

容器も、印刷の掠れやカケ、ゴミの付着など、さまざまな要因により、平均して約20%近くの容器が製品化せず廃棄されている現状を問題視。使用できない容器も廃棄せずに、スターターキットの化粧箱やスタッフの名刺として再活用することで、ブランド内で循環する仕組みを生み出しました。
さらに、容器の一部には日本初のエコ技術を採用し、プラスチック製品の焼却処分時に発生するCO2を大幅に削減することにも成功。実質自然エネルギー由来100%の電気のみを活用する工場で生産、商品の出荷から配送会社の倉庫までEV配送車で運搬し、CO2排出実質ゼロを目指す、という宣言からも、ブランドの本気度が窺えます。
2023.12.06(水)
文=CREA編集部